この週末は、東京に住む伯父を訪ねました。
手土産に選んだのは『赤坂おぎ乃 和甘』さんの生どらやき。こちらが「今すぐ記事にしなくちゃ!」と思うほど美味しかったので、早速筆をとっております。
赤坂おぎ乃 和甘 WAKAN
開業初年度にミシュランのひとつ星を獲得され、話題になったという日本料理店『赤坂おぎ乃』さん。
そのデザートを独立したお店で販売されているのが、今回伺った『和甘』さんです。
『紫野和久傳』 さんが「西湖」を一般販売されているようなものでしょうか。
お店は『虎ノ門ヒルズ ステーションタワー』の地下二階。
「本当にこんなところにあるのかしら」と不安になるような、煌びやかなフードホールを抜けると、スイーツのショップがずらり。

その並びに『和甘』さんはありました。
狭いながらイートインスペースがあります。フードホールで召し上がっていらっしゃる方々も。

生どらやきは、HPでご紹介されている「あずきマスカルポーネ」「あずき塩バター」「あずき生クリーム」に加え、「特撰 あずき」と期間限定「蜜芋生クリーム」もありました。伺ったのは15時過ぎでしたが、「特撰 あずき」は売り切れ。
伯父に希望を聞いたところ「塩バター」が気になるということで、こちらと「マスカルポーネ」を購入しました。
要冷蔵、購入日含め3日間のお日持ちです。当日中でないため、手土産にもぴったり。

ジェラートや、一箱三千円(!)のわらび餅・葛豆腐もございます。わらび餅も売り切れで、人気を実感しました。
「オリジナル風呂敷」は江戸っ子らしい華やかさが素敵でした。こちらに包めば、ぐっと特別感のある手土産になりますね。
生どらやき あずきマスカルポーネとあずき塩バター
伯父の家にお邪魔し、早速ティータイムとなりました。

シンプルな紙のパッケージです。

「半分こする?」と提案していただいて大喜び。「塩バター」も気になっていたのです!
「あずき塩バター」からひと口齧ります。
瞬間、皮のふわふわ加減に驚かされました。焼きたてのパンケーキのように柔らかい。
浅草の『亀十』さんを彷彿としますが、あちらよりは密で、どら焼きらしさがあります。
甘さはごく控えめ。強めの焼きからくる香ばしさを主軸にした生地は、あっさりとしたお味です。
そこにバターが合わさったとき、そのマリアージュの素晴らしさに感動いたしました。バターの香りがのると、シンプルな皮が極上の風味になるのです。
そして、主役であるあんこの美味しいこと!
粒あん特有の小豆らしい香りと旨み、口溶けのよさ、どれをとっても一級品です。甘さはやはり控えめですが、バターの塩気に引き立てられ、充分に幸福感があります。
実は私、「あんバター」というものを積極的にはいただきません。大きなバターの挟まれている商品が多く、折角のあんこの舌触りが、油のにゅるっとした食感に邪魔されてしまうように感じるためです。
しかし、こちらのバターは小豆を邪魔しない絶妙な量感で、舌触りもお味も申し分ありませんでした。
逆にいえば、「あんバターは塊のバターを食べてなんぼ!」という方には物足りないかもしれません。
もう一方の「あずきマスカルポーネ」は、マスカルポーネチーズとあんこをふわふわの生クリームに混ぜこんでおられる、美しいどら焼き。
こちらも大変美味しかったのですが、「塩バター」に比べると、あっさりと軽い印象を受けました。
マスカルポーネは癖がなく、小豆の風味がクリームにマスクされてしまって、「塩バター」ほどダイレクトに感じられません。
あんこ好きの私は「塩バター」の方が好みではありますが、より優しいお味がお好きな方や、「皮そのものの美味しさを楽しみたい!」という方には、こちらがおすすめです。
私の一番好きな生どら焼きは、京都『朧八瑞雲堂』さんの「生銅鑼焼」。

こってりしたものの不得意な私でもするりと一個食べてしまえるような、魔法のように軽い生クリームが特徴です。


しかし、こちらはあくまでクリームが主役で、皮とあんこは引き立て役。
ジャンルとしては、スイーツ系菓子パンに近いと思っております。
対して、『和甘』さんの「生どらやき」からは、あくまでも「和菓子」だという矜恃を感じました。
あんバターやマスカルポーネという攻めたチョイスに見せかけて、特に年配の方への手土産に最適と思える、絶対に外さない美味しさがあります。
控えめで繊細で、凛とした上品な生どら焼き。唯一無二の皮の食感と濃厚なあんこ、お味にぐっと深みを増してくれる乳製品のハーモニーを、是非ご体感ください!