あんこの挟まれた、珍しいお煎餅「あんこ天米」。
こちらを知ったきっかけは、いつも美味しいお菓子をご紹介してくださる Frankie (id:frankie17) 様のポストでした。
富士見堂さんのあんこ天米が人気なのは、あのザラザラとした独特食感の甘いあんこが癖になるのか、ガリっと香ばしいお煎餅の美味しさからか、はたまた両者のマリアージュにより引き出される旨みゆえか。。。
— Frankie (@Frankie_tokyo) 2024年9月24日
いまだにわかないのだけれど、なぜか後を引き次々と食べたくなる不思議なお煎餅🍘 pic.twitter.com/rDmDbXpsMI
Frankie様によれば、「どこの店舗も早い時間に売り切れてしまう」とのこと。
まずはリサーチのため、東京駅に着いたその足でお店に向かいました。
富士見堂 グランスタ東京店
伺ったのは、東京駅にある『富士見堂』さんの『グランスタ東京店』。
以前ご紹介した『日本橋錦豊琳』さんと同じ、「銀の鈴エリア」にございます。

夕方でしたので、当然のごとく「あんこ天米」は売り切れ。
「何時ごろまであるものですか?」とお聞きすると、「8時販売開始で、だいたい40分ぐらいで売り切れます。今朝はちょっとゆっくりで、9時過ぎまでありました」とのこと。
これは、想像以上に早起きが必要です…!
東京出張最終日の朝。気合いは充分、京橋のホテルから歩いて向かいました。JRに乗る予定もないのに改札を通り(入場料150円とられます)、 『富士見堂』さんへ。
到着したのは8時過ぎでした。
売り場から通路を挟んだ対岸に用意された、専用の待機列に並びます。先客は6人ほど。

徐々に列は伸びてゆきます。
スーツ姿の方もちらほら。取引先への手土産にされるのか、はたまたご自宅用か。なんにせよ、出社前に来れるのは開店時間の早いグランスタならではですね。
10分ほどで私の番が来ました。
流石にこのお時間ですと選び放題です。「あんこ天米」のプレーンと十月限定「おいも」、「鈴せんべい」を購入し、ほくほくで京都に帰ってまいりました。


どれも東京らしい、上品で可愛らしいお箱です。お日持ちは「あんこ天米」が45日ほど、「鈴せんべい」が二ヶ月と少しでした。
早速、プレーンの「あんこ天米」からいただいてみましょう!
あんこ天米


通常版は黄色いお包み。おひとつ115kcalと、お煎餅にしてはボリュームがあります。

お花の形と粒々した表面が可愛らしく、華やか。

一口いただいて、その歯応えに驚きました。バリっと固さのあるお煎餅で、もう少し分厚ければ噛むのが大変だったろう、と思うほど。お米の旨みと香ばしさ、きりっとした塩気とお醤油の香り高さ、敢えて残されたお米の粒々とした食感。とても味わい豊かです。
さらに、挟まれたあんこが負けじと甘みを主張し、甘じょっぱさがお口いっぱいに広がります。
こんなお菓子は今までいただいたことがありません!
何よりすごいのは、あんこが挟まれているのに、お煎餅に全く湿気たところがないのです。これを実現するには、大変なご苦労があったとのこと。
餡を挟んでも湿けずお煎餅はパリパリしたままで、賞味期限は餡ものにしては長い約50日。これを実現するにはさまざまな工夫が必要でした
中のあんこに、その秘密があるような気がいたします。
口溶けのよいこし餡がベースになっていますが、しょりしょりとした舌触りがあるのは、粒のままのお砂糖が混ぜ込まれているから。
水分がないのにパサついていないのは、お砂糖の保湿力ゆえか、それとも油で乳化させておられるのかしら? かといって洋菓子っぽさはなく、純然たる和の趣で、「新感覚」としか言いようがありません。
全体の仕上がりとしては、甘党さんにウケのよさそうなお煎餅だと思いました。
関西に住む方は誰しも、『小倉山荘』の「をぐら山春秋」を召し上がったことがあるかと思います。他の地域でどれくらい一般的なのかは存じませんが、要は「小さいお煎餅がいろいろと入ったパック」です。
あの手の詰合せで、一枚だけ入っている「ざらめ」を後生大事に食べる方(これはつまり、私のことです)。
そういう方には、きっと刺さるお味だと思います。少なくとも私は、とても美味しく、楽しくいただきました!
あんこ天米 おいも


こちらは10月限定販売の「おいも」フレーバー。白いお包みでした。

いただいてみると、どこかスイートポテトのように洋風です。バターの香りを感じて原材料を見れば、思った通り「無塩バター」の表示が。プレーンの小豆餡が完全に和だったのに対し、このさつまいも餡には洋菓子のクリームに近いものを感じました。
そして、お芋の風味にどこかクセがあります。鳴門金時や紅あずまとは異なる香り。これは一体...?と個包装の裏面を見てみると、そこに答えがありました。

なるほど、安納芋!
言われてみれば、特有の風味とねっとり感があります。味の濃いお煎餅に負けないように、敢えて主張の強いお芋を使っておられるのでしょう。
それでも、普通にいただくと、お芋がお煎餅に負けていると感じました。
きっと、さつまいもに比べ、小豆というものはなかなか「強い」食材なのでしょう。改めて、プレーンの「あんこ天米」はよくできた商品だと思いました。
お行儀がよろしくないのは承知の上で、こっそりお煎餅を一枚外し、カナッペのようにいただいてみると、カッとなるほど強いバターの風味を感じます。不思議なことに、脳裏に浮かんだのはビスコの姿でした。ものすごく複雑で味わい深くはありますが、確かに構成は似ているのかもしれません。
東京鈴せんべい


こちらは「グランスタ東京店限定ギフト」の「鈴せんべい」。
一枚あたりたったの23キロカロリー、とっても小ぶりなお煎餅です。

東京駅の「銀の鈴」をかたどっているのが可愛らしい。

どれもすっきりとした味付けの、上品で美味しいお煎餅でした。
共通した特徴は、塩気を相当抑え、代わりにお醤油とお出汁の香りを際立たせておられること。お砂糖の甘さも控えめだからこそ、お米本来の甘みがわかりやすく、素材の良さを感じます。
中でもハッとさせられたのは、「かつお七味」のはじけんばかりのカツオの風味です。ここまでお出汁の効いたお菓子は初めていただきました。後からくる七味の刺激と香り高さも含めて完成度が高く、四種の中で一番のお気に入りとなりました。
今回いただいた『富士見堂』さんのお品はどれをとっても、職人さんの丁寧なお仕事ぶりを感じました。
特に「あんこ天米」に関しては、ジャンキーになりやすい「甘じょっぱい系お菓子」でありながら、圧倒的なお煎餅の美味しさと絶妙なバランス感覚で、品の良さを保っておられるのが素晴らしいです。
それに加え、ユニークさゆえの話題性、常温で日持ちし、個包装で配りやすいこと、小休憩にちょうど良いボリュームなど、「おもたせに最適」な要素が揃い踏みであるところが、人気の理由なのでしょう。
とはいえ、「あんこ天米」はそれなりに好みの分かれるお品のように思います。先方が甘党さんだと分かりきっている場合を除けば、「鈴せんべい」を手土産にする方が無難かつ楽だろうな、と思ったのでした。