先日、東京に住む伯父をお招きしました。
その際のお土産にリクエストさせていただいたのは、『慶希処みおや』さんのパウンドケーキです。
『みおや』さんの本店は飯田橋ですが、東京駅直結の丸ビルにも入っておられます。以前から気になっていたものの、自宅用にするには躊躇われるお値段ゆえ、挑戦できていなかったお店でした。
私が「これは!!」となったのは、こちらのケーキの生地のベースにはお芋が使われていると知ったため。
生地には「幻の蜜芋」と呼ばれる安納芋をたっぷりと練り込んであります。(中略)この蜜芋の自然で優しい甘味が、食べるとお口のなかいっぱいにひろがります。
芋栗かぼちゃに目がない私。中でも一番好きなのがお芋なのです!
「大変お高くて恐縮なのですが、一度味わってみたいのです」と申しまして、買ってきていただきました。
慶希処みおや ハーフサイズ×2本
右下に「要冷蔵」とありますが、常温でお持ち運び可能です(帰宅後は冷蔵庫推奨)。
お高いと噂のこちらのケーキ。どんなサイズ感なのか、ドキドキしながら箱を開きました。
おお、なるほど...!
ハーフサイズ(2~4人前)の大きさは幅6.5センチ×長さ8センチ。
両親はあまりの小ささに慄いておりました。何しろ、このお写真の「和栗の慶希」は4,104円なのです。ハーフサイズでこのお値段...!
京都を代表する高級洋菓子の『足立音衛門』さんを彷彿とします。
『音衛門』さんでも、「和栗のケーキ」であればフルサイズで4,320 円ですから、それ以上の価格帯。
因みに、一番お高い商品同士で戦わせると、『みおや』さんの「丹波栗の慶希 10,584円」VS『音衛門』さんの「栗のテリーヌ「天」 12,960 円」となります。どちらにせよ雲の上のお菓子です...。
和栗の慶希
いざ、「和栗の慶希」からいただいてみましょう!
パッケージを開けたお写真は撮り損ねましたので、HPよりお借りしました。この栗の量と、混ぜ込まれたブルーベリーの鮮やかさが、「只者ではない」オーラを放っております。
出典:和栗の慶希(ハーフ) | 慶希処みおや (けいきどころみおや)
ケーキ部分を一口いただいた瞬間、メロメロになってしまいました。ねっとりとした生地は甘さに深みがあり、素材の良さが存分に感じ取れます。合わせていただくお紅茶まで美味しくなるような発酵バターの香りと、卵の優しい風味。
独特の食感と濃密な甘みは、間違いなくさつまいもの力でしょう。「美味しい焼き芋のためならいくらでも出すわ!」という私のような方なら、きっと気に入っていただけるお味です。とはいえ、安納芋の主張は強くありません。言われなければお芋の存在には気づかず、「随分ずっしりしたパウンドケーキね」という印象になる程度。
主役となる栗は和栗らしい、慎ましやかな風味で、全体を和のテイストにまとめあげています。甘露煮と渋皮煮の食感の違いがなんとも楽しい。栗の甘さは控えめで、しっかりした甘みのあるケーキ部分とバランスをとっておられます。
ブルーベリーはケーキや栗を邪魔せず、爽やかさと華やかさを添える、素敵な脇役でした。
林檎の慶希
翌日には「林檎の慶希」もいただきました。さつまいもとお林檎の組み合わせが大好きなので、こちらも是非お試ししてみたかったのです。
四分割にすると、これくらいの厚み。サーブすると「ちっちゃ!」と声が上がりました。二〜三人でいただくのが一番良いように思います。
黒糖で煮込まれたお林檎は、シャクシャクとした歯応えとコクがあります。発酵バターとスパイシーなシナモンの香り、レーズンの優しい甘酸っぱさ、そして唯一無二の生地の食感。とても複雑なパウンドケーキです。
お芋の主張がやはり控えめですので、期待したほど「りんご × さつまいも」を押し出したお菓子ではありませんでした。とはいえ、秋らしい、じんわりと温かみのあるお味で、これはこれで美味しくいただきました。
二種類いただいてみて、私は「和栗の慶希」の方が好みでした。栗というものの美味しさ、そして栗とお芋の相性の良さを再確認できる一品だと思います。お値段は張ってしまいますけれど...!
どちらも、選び抜かれた素材を惜しみなく使っておられるのが伝わってくるような、贅沢なパウンドケーキでした。個々の素材の良さが感じられる一方で、どの素材も過度に主張せず、全体として調和がとれるように仕立てておられます。
どなたにも楽しんでいただけるお菓子だとは思いますが、お値段を考えると、特にお芋好きさんにおすすめです。少なくとも私にとっては、まさにツボにはまる美味しさでした。
今回いただいたもののお日持ちは二週間程度。カロリーは「和栗(ハーフ)」が一本605kcal、「林檎(ハーフ)」が一本536kcalでした。
番外編:アングレディアンのケークマロン
最後に、お味で勝負するなら『みおや』さんにも『音衛門』さんにも引けを取らない、イチオシの栗のパウンドケーキをご紹介させてください。
我が家のお気に入りのケーキ屋さん『アングレディアン 京都』の「ケークマロン」です。クリスマスケーキの予約のついでに買ってまいりました。
「和栗の慶希」や「栗のテリーヌ」に比べればずっと地味に見えますが、このケーキの栗の風味は本当に素晴らしいのです。
ひとかけらいただくだけで、和栗の風味がぶわっとお口いっぱいに広がり、そこからバター、卵と何段階にも移り変わっていく豊かな味わいが楽しめます。一口ごとに惚れ惚れとさせられるような、はらりと解ける舌触り。シンプルなお菓子がここまで美味しいのは、作り手さんの並々ならぬ技術があるからなのでしょう。
京都にお越しの際は、ぜひこちらの焼き菓子を、そして可能であれば生ケーキやプリンも、お楽しみいただければと思います。
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