前回の続きです。
結局、朝方までギュルギュルするお腹と闘いました。
トルコにビデがあって助かりました。冷たいお水しか出ないけれど、十分ウォシュレットの代わりになってくれるものですね!
二日連続の伝統菓子モーニング
「なにか食べたい」と思えるくらいには身体が回復していたので、昨日と同じカフェで朝ごはんをいただくことにしました。

まずはトルコアイスこと「ドンドルマ」から。
スプーンではなくフォークナイフが供されたのを不思議に思いつつフォークを当てると、その硬さに驚きました。
まるで冷えたバターのようにガッチガチ。これはスプーンでは食べられないわけです! 刺さらないナイフとフォークを突き立てるようにして一口目をカットし、いただきました。

シルキーな口当たりが美味しいです。お味はミルク感が強くて軽やか。あっさりといただけます。この硬さも、脂質が少ないからではないかしら。
時間の経過とともに風味が強く感じられるようになり、”みょん”と伸びる、よく知るトルコアイスの食感に近づきました。お味の点でも食べやすさの点でも、少し待っていただくのが正解だったようです。
続いては「バクラヴァ」。
定番のピスタチオ×パイ生地のものからいただきました。

昨日いただいたものよりも格段にクセが少なく食べやすい一方で、旨み・甘みは控えめに感じます。昨日のピスタチオは舌で潰れるような柔らかさでしたが、こちらはコリっとした舌触り。シロップが全体に滲みており、パイだったころの記憶を失ったようなニタニタの生地になっています。昨日のベーカリーの方が食感がよく、私好みだったと感じました。
付属の白いソースは甘さ控えめの練乳のような、油脂を強く感じるお味でした。何が入っているのかお聞きすると「ホワイトチョコレートとクリーム、ミルク」とのこと。
これを「バクラヴァ」に付けてみると、旨みが一気に増して、とても美味しく感じます。ビタビタになるまで浸しても、ピスタチオがしっかりと主張し、負けることがありません。こちらのお店ではクセを控えめにする分、損なわれる旨みをソースで補填しておられるのではないかと思いました。また、「ドンドルマ」をたっぷりと載せて、一緒にいただくのも美味しかったです。
もう一種選んだ「バクラヴァ」は緑色のもの。
割ってびっくり、質感が全く異なりました。こちらはシロップには漬けられておらず、月餅のような、クッキーと呼ぶにはやや脆く柔らかい小麦生地です。

一口いただいて、先ほどのものとは一転、クセの強さに驚かされました。容赦ないピスタチオ感!
旨みはもちろんありますが、風味が強すぎてそれどころではありません。ナッツに「臭み」という言葉を使いたくなったのは初めてです。
クリームと一緒にいただくとまろやかになりますが、どれだけ浸しても、まだ私にはクセが強すぎます。「バクラヴァ」を覆い尽くすサイズの「ドンドルマ」と一緒にいただくことで、なんとか完食いたしました。
これを日常的にいただくなんて、トルコの方々のピスタチオ耐性の強さには驚かされます。日本人がお醤油の”臭み”に慣れきっているのと似た感覚なのかしら、と想像しました。

こちらはおまけ。「チャイ」に添えられていた伝統菓子の「ロクム」です。
胡桃とピスタチオ入りで、モチモチねっとり、じんわりとした甘さ。日本の「ゆべし」によく似たお菓子でした。
グランドバザールでお買い物
お菓子のフルコースを食べ終えた後は『グランドバザール』へ。

こちらでは、ある宝石店のピアスに一目惚れして買うことにしました。

値札はなく、交渉でお値段が決まります。

トルコで大人気の”青い目玉”のアクセサリーとセットにして、最終的に三割ちょっとのお値引きをしていただきました。適正価格がいくらなのかは存じ上げませんが、こういうところで「値切ってお買い物すること」に憧れていたので、とても楽しいひとときでした。
余ったトルコリラを使い切るため、キーホルダーも購入。おひとつ50リラ(225円)でした。
タクシーで空港へと向かいます。

空港のショップで、よく似たキーホルダーが5ユーロ(795円)以上するのを発見し、「お得にお買い物できたわ!」と嬉しくなりました。

再びターキッシュエアラインズの飛行機に乗り込み、トルコを後にしました。
プラハまで、二時間半ほどの空の旅です。

このときの機内食は、トマトソースのグラタン。その馴染み深い美味しさに、心底ホッとさせていただきました。トルコの食べ物はどれも私にとって新しい味わいで、中には口に合うものもありましたが、どこか心休まらないところがあったようです。

プラハ空港にてお迎えに来てくれた友人と合流し、午後は彼らのおうちでゆっくりと過ごしました。
トルコを訪れて
物心ついたころから私は、イスラム文化の精緻な幾何学模様や独特の色使いに強く惹かれていました。ですから、東欧旅行を計画するなかで、イスタンブール経由のトランジット便がお安いことに気づいたときの胸の高まりは、言葉にできないほどでした。
一人で海外に向かうのも、二週間という長期間京都を離れるのも初めて。期待と不安を胸に飛び込んだトルコは、今まで訪れたどこよりも「異国」でした。

どこまでも続く情緒ある街並み、朝六時から鳴り響くクルアーン、至るところにいる猫ちゃんたち。


なかでも印象的だったのは、働いているのが男性ばかりだったことです。
お土産屋さんやレストランはもちろん、パティスリーからペニンシュラホテルの高級服飾店に至るまで、スタッフはほとんど男性。私が出会った例外は、観光ガイドとホテルの受付の方、お二人だけでした。
トルコ随一の大都市・イスタンブールがこの状況ということは、地方ではどうなっているのだろうと考えさせられます。もっと厳格に「女性は外で働かない」という文化があるのか、むしろ所得が低いので「男女関係なく働く」のか…。
もう一つ驚いたのは、出会った方々がみな、英語を話したことです。
英語圏ではないにも関わらずコミュニュケーションに困ることがなく、一人旅の身としては大変助かりました。
言葉が通じるおかげで、文化的にはずっと近いはずの韓国や台湾に比べて、お買い物するときのストレスが少ないように感じたのは面白い気づきでした。これにはトルコの国民性も関係しているかもしれません。皆さん人懐っこく、笑顔が素敵で、とても親切にしてくださいました。
また、見どころが徒歩圏内にぎゅっと集まっていてタクシーを使う必要がなかったこと、観光地において治安面の不安をほとんど感じなかったこともあり、イスタンブールは「初めての一人旅」にぴったりの場所だったと思います。
とはいえ、やはり私は、誰かと一緒に旅をする方が好きなようです。もしまたこの地を訪れる機会があれば、今度は大切な人と、ボスポラス海峡のクルーズ船に乗ったり、カッパドキアまで足を伸ばしたりしたい。そのように思っております。