私の中で、焼き菓子の女王だと思っているお方がいます。
京都の荒神口にある焼き菓子屋さん、お菓子工房sampoの店主さんです。
もう10年ほど前のことでしょうか。この小さな焼き菓子屋さんを両親が見つけてきまして、それが我が家の口にぴったりと合ったのです。南仏で修行されたという店主さんのタルトやパイ、クッキーなど、どれも繊細な素朴さと華やかさを持ち合わせた、計算されつくした味わいです。私が一番美味しいと思うカヌレをお作りになるお店でもあります。
我が家では特に父がこちらのお店を大好きで、プリンやシュトレン(シュトーレン)のような季節のお菓子の発売日を電話で確認しては、始められるや否やお引取りに行っております。
シュトレン(大サイズ)
今年もこちらのシュトーレンが実家にやってきました。
「昨日作ったばかりですから、1週間ほど寝かせた方が、美味しく召し上がっていただけると思います」とのこと。早速仏壇に備えられまして、本日やっと、いただくことができました。
ドライフルーツがたっぷりと入ったシュトーレンです。オレンジピール多めの部分は爽やかな香りを、レーズン多めの部分はスパイスとフルーツが共演する大人の香りを楽しむことができます。バターの重厚さ、そしてふちのお砂糖がたっぷりなのが、なんとも甘党の我が家好みです。
我が家でもう一つお気に入りなのは、宇治のたま木亭のシュトーレンですが、あちらはやはりベーカリーのものらしく、多少のパンらしさがあります。それに対し、こちらはどっしりとした食感でいかにも焼き菓子という感じ。王道のシュトーレンと言えるのではないでしょうか。
お日持ちは一ヶ月ほどで、ぎりぎりクリスマスには間に合いません。とはいえ我が家では数日でなくなる運命ですから、賞味期限を気にすることもないのですが。この写真を撮り、いただいた後、我慢できずにもう一枚スライスしてしまいました。
エンガディナー
一緒に、和栗のパイとエンガディナーも買ってきたそうです。栗のパイ、とても美味しかったとのこと。パイは日持ちしないので私はいただきそこねましたが、エンガディナーの方はご相伴にありつきました。
いただくと、これ以上ないと思えるような素材の組み合わせの妙を感じます。柔らかな胡桃を包むなめらかなキャラメル、ざくざくのタルト。これは、アーモンドでもヘーゼルナッツでもなく、胡桃でなければいけなかったのです。キャラメルも、あと少しでも固くても柔らかくてもいけない。それらの香ばしさとタルトのバターたっぷりな香りが合わさり、大変美味しいです。
日持ちのするお菓子でこの美味しさ、ギフトにも重宝します。以前こちらのカヌレをある方にプレゼントした際は、「これ、本日中なんです」と言いそえなくてはなりませんでしたから。その方には後日、大変美味しかったと言っていただき、そうでしょうとなぜか私が誇らしく思ったのを覚えております。
相変わらずの繊細なお仕事、惚れ惚れといたしました。明日からシュトーレンの続きをいただくのも楽しみです。