今回は秋田旅行の本編から離れ、一押しのお店のご紹介を。
菓子舗榮太楼 幸町店
秋田市内に六店舗を構えておられる『菓子舗榮太楼』さんは、秋田随一の老舗和菓子店です。
旅行初日に訪れたのは、本社があり工場も併設されている「幸町店」。最終日には「いとく新国道店」も訪れました(こちらはまた改めて)。
中に入ると、お品数の多さに圧倒されました。焼き菓子も置いておられる和菓子屋さん、という雰囲気です。
明治16年(1883年)の創業以来、140年の歴史があります。
『榮太楼』のお名前は、以前ご紹介した日本橋の『榮太樓總本鋪』さんから来ているそう。
(始まりの)場所は現在、基幹店の大町店がある秋田市中心部を流れる旭川のそば。「榮太樓總本鋪も東京の日本橋川のそばにある。そんな縁で初代が『榮太楼』を名乗らせていただけるよう頼んだそうです」と7代目の小国輝也社長(54)。
それでロゴもよく似ているのですね!
とはいえ経営は全く別で、並べておられるのは全てオリジナルの商品です。
桜咲くさくらゼリー
私がこちらのお店を知ったきっかけは、高島屋さんの名物バイヤーさんのこちらのポスト。
#販売情報 #さくらの和菓子特集
— 畑 主税(高島屋和菓子バイヤー公式) (@wagashibuyer) 2024年3月14日
もうね、#桜🌸を意識する時期になると、受験シーズンあたりより、「#桜咲く」と冠して一斉に売場に桜の花を先に咲かせてくれるのが、#秋田 の #榮太樓… pic.twitter.com/tM4pPd86mD
「ひとつひとつ手作業で、萎んだ花を咲かせるように開いて、ゼリーの中に浮かべて作っている」という、とんでもなく手のかかったお菓子に興味が湧き、是非とも伺いたいと思ったのです。
無事にお目当てを購入することができました。
可愛らしい春色のパッケージです。お日持ちは常温で三ヶ月以上。
紙を外してみると、自然の桜をそのまま閉じ込めたような、可憐な姿があらわになります。
綺麗にお皿に出てくれるか不安でしたが、それなりの固さがあり、崩れることなく簡単に移すことができました。
ゼリー自体もほのかなピンク色。この透明感、気迫を感じるような美しさです。
ぷるんとした固めのゼリーは爽やかで控えめな甘さ。ゼリー部分からも桜がしっかりと香り、非常に可憐な印象を受けます。桜のお花はほのかに塩気があるものの、甘みが移っているのでしょうか、ゼリーと一体化したような優しいお味です。苦味は全くありません。
見た目に違わず繊細で品の良い、大切な方に贈りたくなるようなゼリーでした。
あきた銘菓さなづら
続いては、昭和32年から作り続けておられる代表銘菓の「さなづら」。
秋田の方言で「山ぶどう」の意味だそう。お日持ちは常温で約40日です。
見た目には控えめで素朴な感じがいたしますが、食べると印象が一変。
目を見張るような濃厚な美味しさが押し寄せます。きゅっと詰まった甘酸っぱさは、上質なジャムを固めたよう。
山ぶどうと杏、みかんを組み合わせておられ、奥深くも雑味のない果実感が素敵です。均一で滑らかな舌触りに、丁寧に作られていることを感じました。シンプルながらユニークで、お菓子としての完成度が非常に高いです。
同封されていた紙には、ヨーグルトやトースト、お肉に添えるといったアレンジが。どれも魅力的で、一人で一箱を余裕で食べてしまえそうです!
こちらを共用デスクに置いておいたところ、始めは「これなに?」と聞かれて「無難でないお土産を選んでしまった...」と後悔しかけましたが、瞬く間に美味しいと評判になって売り切れておりました。
ヘルシーで満足感が高いため、ダイエット中でも気兼ねなくいただけます。秋田に行ったらとりあえず買いたい一品となりました。
猫もにゃかサブレ
最後は猫好きとしてスルーできなかったこちらの一品。
お日持ちは一ヶ月程度です。内容量「1匹」があまりにも可愛い!
あんこの入った最中だと思いこんでいたため、割って驚きました。
まさか、サブレに最中の皮を被せて焼いてあるとは!
両面の姿はこうなっています。猫ちゃんの形がとっても可愛い。
塩気のきいたサブレとサクサクの最中生地の組み合わせは普通に美味しいです。サブレはアーモンドパウダー多めのザクザク系で、じゅわっと染み出すような、濃厚なバター感がありました。最中からはお米の香りと甘みが感じられます。サブレと最中、どちらが勝っているわけでもない絶妙なバランス。食感のコントラストが楽しい、新感覚のお菓子でした。
この日の「幸町店」にて、先程引用した記事にご登場されている社長さんにお会いすることができました。どこから来たのか尋ねてくださったり、なぜお相撲さんの写真を貼っているのかを友人に英語で説明してくださったりと、大変に気さくで素敵な方でした。
父の急死により、輝也社長は平成3年に28歳で社長に就く。
記事の続きを読んで、あのにこやかな社長さんが様々なご苦労をされてきたことを知り、陰ながら応援したい気持ちになりました。
そうでなくても、とっても私好みのお菓子をお作りになるお店です。今後、催事などでお見かけした際には、喜んで購入させていただきます!
この時、私は日持ちのするお菓子ばかり選んだのですが、両親は「お宿で食べる」と申して生菓子を購入しておりました。彼らの「すごく美味しかった」という報告を受け、「どうしても食べたい!」となった私は最終日にも『榮太楼』さんに伺いました。その時の購入品についても、近日中にご紹介する予定です。