前回の続きです。
日本橋の榮太樓總本鋪本店にて、三種類の生菓子を購入しました。
大きさが揃っていて可愛らしい。これは手土産にするにも綺麗でよいですね。
順にご紹介していきたいと思います。
名代金鍔
まずは金鍔から。金鍔は本当は当日中の期限なのですが、京都に戻る時間の都合上、やむを得ず翌朝にいただきました。
丸くて知っている金鍔と違うと申します母に、もとは「刀の鍔」をかたどっていたから、丸いのが本来の形らしいとお話しました。いわれてみれば、いわゆる四角い金鍔はどこが鍔なのかわかりません。榮太樓さんのものは薄く透けたあんこの色合いといい、まさに刀の鍔に見えます。いかにも江戸らしい、武家社会のお菓子ですね。
断面はこのようになっています。お店でいただいたときに衝撃を受けた、この皮の薄さ。あんこが主役なんだ、これを味わってくれ、という強い意志を感じます。しかし、この薄い生地がなければ金鍔の味わいにはならないのです。職人さんの技術に支えられた、絶妙なバランスのお菓子です。はっきりとした勢いのある味わいのあんこに、相変わらず上の黒胡麻がよく合います。しかし、焼きたてのものは胡麻の風味が本当に格別でしたし、冷えたあんこもずっしりとして美味しくはありますが、あのほかほかとしたあんこの幸福感をもたらしてはくれません。またいつか、両親と東京に行き、あのカフェで焼きたての金鍔を食べてもらえる機会を設けたいと思いました。
黒みつ饅頭
続いては黒みつ饅頭。こちらは12月31日までの季節限定商品でした。
一見、たねやさんの末廣饅頭をただ大きくしたようなシンプルなお饅頭です。
そう思いきや、割った瞬間驚いて声をあげてしまいました。たらりとした黒蜜が中に入っていたのです。これは美味しそう。
他の二品とは異なり、こしあんです。やや色が薄いのは白隠元の方が多い、白餡よりのあんこだから。黒蜜と喧嘩しないよう、バランスを考えてそうなさっているのでしょう。お日持ちは翌日までです。
いただきますと、こっくりとしたあんことたっぷりの黒蜜がお口の中ですっと混ざり合います。あんこと黒蜜が織りなす濃く甘い味わいは美味しくないはずがありません。ただ少し、私の好みから外れていたのは、皮がやや固く「噛み切る」ような食感になっていたことです。もしかすると、強いあんこと黒蜜に負けないよう、敢えてしっかりとした皮にしておられるのかもしれません。もしくは、私がいただいたのは購入の翌日でしたので、蒸してから時間の経ったお饅頭では不可避の固さが生じてしまったのかもしれません。もしいつもの末廣饅頭のような、ほどけるような柔らかな皮であれば、もっと好きだったように思います。次にいただく機会があれば、なるべく購入当日の早い時間にいただくか、蒸し直していただくのがよいかな、と思っております。
ど楽ど楽もち
最後に、小さなどら焼きに求肥を挟んだ、可愛らしいお菓子。ど楽ど楽もち、というお名前です。
粒あんと求肥が同じくらいの厚みで挟まれています。カステラはしっとりと風味豊か、強い味わいのあんことほんわりと甘い求肥が調和して、これが一番美味しい、と家族に評判でした。カステラのふわふわ感、もちもちとした求肥、粒あんの皮の食感の全てが合わさり、楽しい一品です。
お日持ちが3日ほどあるのも嬉しいですね。求肥ですので翌日以降も柔らかなままいただけるのでしょう。しっかりとした甘さと食べ応えがありますから、甘党の方への手土産によさそうです。
榮太樓飴 梅ぼ志飴 有平糖
日を改めて、梅ぼ志飴をいただきます。
今年の干支、辰のパッケージ、格好良いです。
原材料は白ざら糖、水飴、着色料のみと極めてシンプル。お日持ちは一年近くあります。
丸みをおびた形が可愛らしい。舐めてみると、口の中を転がるその形の滑らかさに驚かさせられます。お味は「高級な黄金糖」という印象です。
飴というものは、舐めていると段々とささくれ立ってきて、食べ終わるころには口の中にヒリヒリとした感覚が残るものですが、この榮太樓飴は表面がずっと滑らかで、口の中が痛くなりません。一体どんな技術なのでしょう。公式サイトを拝見しました。
特徴的な三角形の角が丸くなっているのは、飴を断裁した際の切り口が誤って口中を傷つけない配慮とともに、飴の欠けを防ぐ工夫です。(中略)また、幾つ舐めても口の中が荒れないのは、砂糖純度の高い証拠。
江戸時代から続く職人技と材料へのこだわりが、この奇跡とも思える舌触りを作っているのですね!感服いたしました。
東京のお土産に生菓子を買うのが最近の定番となっています。ケーキなどは保冷バッグを持って行かなくてはなりませんが、こういった和菓子ですと常温でお持ち運びしやすく、気軽に買って帰ることができます。東京にも歴史のあるお店がたくさんありますので、少しずつお試ししていきたいと思っております。