ルコの甘味日記

甘いものを食べたり作ったり

永楽屋名物。母の焦がれた超巨大おはぎと、お彼岸限定金胡麻おはぎ。

お彼岸がやってまいりました!

昨年末から年始にかけて訪れたマイブームにより、季節外れのおはぎネタを投稿し続けていた当ブログですが、やっと季節のお菓子としておはぎをご紹介することができます。

 

本日ご紹介するのは、『京佃煮・京菓子 永楽屋』さんのおはぎです。

『永楽屋』さんは「京のあまからや」として、「あまいもの」と「からいもの」の両方をお作りになるお店です。佃煮やお菓子の詰合せをいただく機会は多いものの、生菓子をいただくことはほとんど無く育ってまいりました。

 

しかし、母はこちらのおはぎに特別な思い入れがあると申します。

『永楽屋』さんの本店は四条河原町のど真ん中。京都に住んでいれば否が応でも前を通る立地にあります。

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そして母が若かりし頃、このショーケースにはいつでも「大判おはぎ」があったとか。

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木箱いっぱいに詰められた、あまりにも巨大なお供え用のおはぎ。

「これをお弁当箱のように抱え、ひとりで全部食べることができたら、どんなに幸せなことか...。」

生粋の甘党である母は、前を通るたびにこちらのおはぎに目を奪われ、いつか実現する日を夢見たのだそう。

 

時は流れ、「お供え用のおはぎ」の需要が減ってしまったためでしょうか、名物だった「大判おはぎ」はショーケースから姿を消しました。

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しかし現在も、週末限定で販売を続けておられます。

また、お彼岸の期間は、小さいサイズのおはぎもお作りになります。こちらは「小豆」「きなこ」「金胡麻」の三種類。

本日はこのおはぎたちと「みかさ」をご紹介できればと思います。

永楽屋名物 大判おはぎ

折詰に「小豆」と「きなこ」、二種類のおはぎが詰められています。

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重さを測ってみますと、おひとつ280gでした。あの『松屋』さんのおはぎでも約250gだそうですから、それを超える大きさ。通常のおはぎの四つ分だそうです。

小豆

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まずは、定番の粒あんから。お皿に出してみますと、ますますの迫力です。

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いただいてみますと、王道ど真ん中をいくような、完成されたおはぎです。素朴というよりは上質で、ああ、美味しい、となるようなお味。これにはご先祖様も文句のつけどころがないに違いありません。

『松屋』さんなどと比べるとごはんの比率が多く、もちもちと柔らかな餅米からは旨みと香りがしっかりと感じられます。『松屋』さん『今西軒』さんに比べごはんの水分は少なめ。あんこは上品な甘さで柔らかく炊かれており、粒あんなのにすうっと消えていくような軽やかさです。

きなこ

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続いてはきなこ。

ごはんの湿気を吸ってしっとりとしています。

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こちらは特に、お米の主張が強いように感じました。ごはんには粒感がほとんど残されておらず、お餅のよう。お箸で割くときの抵抗がすごいのですけれど、口に運ぶと全く固さを感じず、もっちもっちと均一な柔らかさを存分に楽しむことができます。

滑らかで軽やかなこし餡と香り良いきなこは、この美味しいごはんを引き立てる名脇役です。こんなにたっぷり入っているのに、あんこを控えめに感じるのは面白いですね。

 

どちらも餅米が主役で、口に運ぶとふわーっと幸せになるようなお品でした。

おはぎの二要素「お菓子」と「ゴハン」でいえば完全に「ゴハン」に寄っており、たくさん食べても甘さでやられることはありません。流石に折詰まるごととなるとお腹が苦しくなってしまいそうですけれど、二人で一箱でしたらなんとか頑張れそうです。お墓参りで山を登ったあとに食べたい、どこかおにぎりを思い出させるようなおはぎでした。

お彼岸限定 おはぎ 金胡麻

こちらは、お彼岸の期間のみお作りになる金胡麻のおはぎです。

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ごまのおはぎは、以前『志野』のものをいただいて「定番の方が好き」などと申しておりましたが、こちらはいかがでしょう。

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......!これは、美味しいです!

こし餡の中に胡麻が使われているようで、このあんこの爽やかさはいくらでも食べられてしまいそうです。表面の胡麻は香ばしく、ポリポリとした食感が楽しい。ごはんはモチモチとろりと柔らかく、これ自体の旨みも感じます。

『志野』の黒ごまのおはぎには中華の胡麻団子を強く感じたのですが、こちらのおはぎから胡麻団子を想起することはありませんでした。材料はほとんど一緒でしょうに、不思議なものです。あんこが特徴的だからでしょうか?

新しく、それでいて奇抜ではない、スタイリッシュなお味のおはぎです。非常にすっきりとした味わいでバランスがよく、「垢抜けている」と感じました。

みかさ(三笠/どら焼き)

最後にご紹介するのは、こちらも名物の「みかさ」です。

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関西ではどら焼きを「みかさ」と呼びます。

こちらでは毎朝焼きたてを販売されており、お日持ちは翌日まで。生菓子に近い感覚です。

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いただいてみますと、皮の生地にかなり歯応えのある、昔ながらのみかさです。中のあんこの美味しさが秀逸で、粒の残った固めの粒あんが、ごろごろと贅沢に混ぜ込まれた栗とよく合います。ねっとりと甘いあんこに対して、皮の甘さは控えめ。皮は卵と蜂蜜が香りよく、お味自体はよいのですが、食感がごわっとして感じられるのが、私個人の好みからはやや離れるように思いました。

この「みかさ」は、若き日の母の「みかさのマイ・ベスト」だったそうですが、最近の母のお気に入りは『京阿月』さんのものだそう。こちらについてもいずれ記事にできればと思っております。

 

馴染み深い『永楽屋』さんの生菓子は、どれも間違いない美味しさでした。この日には売り切れてしまっておりましたが、桜餅など季節の和菓子もいろいろと作っておられますので、また機会があればお試ししたいと思います。

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