ルコの甘味日記

甘いものを食べたり作ったり

おはぎ界のマイ・ベスト。味工房 志野の大きなおはぎ。

前回に引き続き、京都大原、味工房志野で購入したお品のご紹介。今回は真打、おはぎについてです。栗餅などの和菓子詰合せについては、後日改めてご紹介したいと考えております。

味工房 志野のおはぎ

私たち家族が志野を知ったきっかけ、それこそがこのおはぎでした。

数年前、京都高島屋の地下一階の催事スペースに志野が出店しており、「とても立派なおはぎで、なんだか美味しそうだったから」と両親が買ってきてくれたのです。一口食べて、これは只者ではない、どこのお店だと調べますと大原。近いじゃないの!と早速行ってみたところ、とても楽しいお店でした。それ以降、定期的に訪れるようになりました。

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このおはぎ、直径8センチくらいあるんじゃないかしら、とっても大きいのです。お日持ちは当日中です。

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まずは「あんこ」から。

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オーソドックスながら、餡もごはんもなんとも美味しく、こってりと甘く重たいおはぎです。ごはん部分はもちもちとした食べ応えがありつつも柔らかく、甘みとお米の香りがしっかりと感じられます。しっとりとした粒あんは、水っぽさとは無縁の仕上がりです。

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続いて「きなこ」。f:id:microbian:20240103154414j:image

ごはんも粒あんも、「あんこ」と同じものをお使いなのでしょうけれど、驚くほど甘さが抑えられて感じます。きっと口に含んだときに、甘みのないきなこの味を最初に感じるため、甘い餡がべたりと舌に乗る「あんこ」に比べて甘くないように感じるのでしょう。決して餡が少ないわけではないのに全く違うように感じる、人間の味覚の繊細さには驚かさせられます。

きなこは仙太郎さんのものと比べると少なめで、香りもほんのりとしていますが、大豆の味をしっかり主張してきます。きなこと小豆、それぞれの香りが互いを引き立て合う風味豊かなおはぎです。

仙太郎さんのおはぎと同様、この子たちのベストな楽しみ方は、二種類を同時にいただくことです。こってり濃厚な「あんこ」と甘さ控えめで香り高い「きなこ」は、交互に食べてこそ真価を発揮すると思います。ですが、どちらか好きな方を選べと言われましたら、根っからの甘党の私はあんこに軍配を上げます。

 

さて、ここで、なぜこのおはぎがマイ・ベストになっているのかをお聞きいただけますと幸いです。
京都でおはぎといえば五条の今西軒さんです。随分前にいただいたとき、もちろん大変美味しくはあったのですが、なんだか水っぽさを感じたのを記憶しています。

これは幼い頃に父方の祖母の作ってくれたおはぎに通ずるものがありまして、きっと水分の多い餡とごはんこそが「おはぎとして正しい」スタイルなのだと思います。祖母はお彼岸には必ずおはぎを作っていましたが、それが私の遊びに行くタイミングに被ることは稀で、食べる機会はそれほどありませんでした。母方の祖父が買ってくる仙太郎さんのおはぎで育った私は、水分多めのおはぎを、美味しいけれど食べ慣れないと感じてしまいました。

長く仙太郎さんのおはぎが一番、と思っていた私に、「おはぎ」には「お菓子」と「ゴハン」両方の性質があるのだということを教えてくれたのが志野でした。例えば、とらやさんは本当に美味しい餡子をお持ちで、おはぎも勿論美味しいのでしょうけれど、こと「おはぎ」においては今西軒さんの方が評価されているのです。それは、職人のつくる和菓子の芸術性ではなく、家庭的な温かみが「おはぎ」には必要だからではないでしょうか。

仙太郎さんのおはぎは紫蘇ときなこが香り高く、上質な餡とバランスが取れていて、とても完成度が高いと思います。和菓子屋さんのおはぎの最高峰です。一方で志野のおはぎは、食べ慣れた水分の少ない餡と餅米で作られているにも関わらず、「ゴハン」的な手作り感があるのです。シンプルで、品が良くて、素朴なおはぎ。これが私にはクリティカルヒットでした。

 

この文章を書きながら、志野のおはぎに慣れた現在の私は、今西軒さんのおはぎをもっと美味しく感じるかもしれないなと思いました。今年のうちに、もう一度味わってみたいと思います。

www.sino.co.jp

 

追記:今西軒さんに行ってきました。

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