前々回、前回に続きまして、京都大原、味工房志野のお餅菓子のご紹介です。
味工房 志野のおもちの和菓子 詰合せ
志野では、いくつかの和菓子が様々に組み合わせられたパックの中から、好きなものを選ぶことができます。今回は3種類のお餅菓子のセットを選びました。
ひとつ申し訳ないのは、本当は当日中のお日持ちのこの子たちを食べ切れず、翌日にいただいたことです。元日の朝にいただきました。
黒豆餅
まずは黒豆餅から。先日「(出町ふたばさん以外の)よその豆餅を食べたことがないので〜」などと申していた舌の根も乾かぬうちに別の豆餅を紹介することになりお恥ずかしいですが(絶対よそのも食べているでしょう、覚えていないだけで)、この子のお豆は一味違います。
赤えんどう豆の代わりに、でっぷりと大きな黒豆が使われているのです。舌で簡単に潰れてしまうほど柔らかい、優しい甘さに炊かれたお豆が、やはり甘いお餅と餡と組み合わさり、あまあまなスイーツに仕上がっています。
年末の志野では「丹波・黒豆煮」の大きな瓶が売られていましたから、あの黒豆ではないかしらと思います。甘いけれど甘ったるくない大きなお豆が、餡をびっしりと取り囲んでいるような、贅沢で幸せなお大福でした。
よもぎ餅
続きましてよもぎ餅です。この子はかなりお餅が固くなってしまっており、当日に食べるべきだったわと一番申し訳なく感じました。よもぎ餅は特に固くなりやすいですね、気をつけます。
しかしながらその味と香りの濃さは素晴らしいです。蓬が入っているためにお餅の甘さは控えめに感じますが、中の餡が甘いので、全体ではちょうど良い甘さに感じます。固くなってもなお美味しい、手加減のないよもぎ餅という印象でした。
栗餅
蜜煮にされた、柔らかな栗がひとつぶ丸ごと入った栗餅です。
全体としては、粒感の残ったお餅の美味しさが印象的な栗餅です。栗の香りが強く、小豆の香りも強いので、栗と餡が絶妙なバランスで調和しているのがなんとも美味しい。
やはりお餅のとっても美味しいお店ということで、どれもお餅の美味しさがじっくりと味わえる、大変私好みの和菓子でした。二日目でも十分美味しくいただきました。
東京でお大福やたい焼きや金鍔など、様々な和菓子をいただくたびに、その皮の薄さに驚かされますが、京都ではある程度皮に厚みをもたせて、もちもちとした食感を楽しむものが多いように思います。志野のお餅菓子はその点で、京都人好みの仕上がりなのかもしれません。
志野は公式サイトでもお店でも「田舎」と連呼されますが、私は志野のお品に「田舎臭さ」は皆無だと思います。家庭的な親しみやすさはありますが、お菓子もお惣菜も、何をいただいてもプロのお仕事、という感じがしますし、粗雑さがありません。
あえて「田舎」と言っておいて食べた人をびっくりさせよう、「やはり京都は都だからこんな外れに来ても上品なのだ」と思わせてやろうという、京都人のいけずのようなものがあるのではと邪推してしまいます。考えすぎかしら、志野にお勤めの方に一度お聞きしてみたいものです。