ルコの甘味日記

甘いものを食べたり作ったり

京都でおはぎといえば。今西軒の繊細でお上品なおはぎ。

京都大原 志野のおはぎの記事を書いた日から、今西軒さんのおはぎってどんなだったかしらと気になって仕方がありません。年始の営業を再開されて早々、予約の電話をいたしました。

といいますのも近年、今西軒さんは大変な人気で、予約しないと行列必至なのです。開店前から列ができているとか…。

お電話での予約はひと月前から受け付けておられます。今回「三種類を三つずつ、直近でご用意が可能な日」を伺うと、24日とおっしゃいました。お電話した日からほとんど二週間後ですから、凄まじい人気です。

 

そしてついに一昨日、お引き取りに行って参りました。

予約のお引き取りは11時からとのことで、11時に伺いました。お店は地下鉄五条のほど近く、烏丸通から少し西に入ったところにあります。

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行列ができているものと思いきや、誰もいらっしゃいません。

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なんと、もう完売しているのです。開店が9時半ですから、ものの一時間と少しで売り切れてしまったということでしょう。水曜日の朝とは思えない盛況ぶりです。

カーテンの閉まった扉を開け、ごめんくださいとお声掛けしますと、すぐにショーケース上のガラス戸からご対応をいただきました。

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今回は三種類、それぞれ別のパックに詰めていただきました。勿論お日持ちは当日中です。「つぶあん」の原材料は「砂糖・小豆・餅米・食塩」のみ。余計なものは一切入っておりません。

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左から、「つぶあん」「こしあん」「きなこ」です。順にご紹介していきます。

つぶあん

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まずは一番人気の定番、「つぶあん」から。

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かなり固さのある餅米が、たっぷりのあんこで包まれた、小ぶりのおはぎです。ごはんは寒さのせいで固くなってしまったのだと思われます。

口に含んでまず思ったのは、「あっさりしている」でした。しかし、噛むたびに、お米とあんこ、それぞれの甘みと香りがお口の中でぶわっと広がります。なんて繊細な美味しさなのでしょう!

餅米は甘み・旨み・香り全てが強く、存在感たっぷりです。一方で、柔らかく炊かれたあんこは皮の食感が楽しく、こちらも負けじと小豆の香りを放ちます。断面を見た時には餡が多い!と思いましたが、いただいてみますと、この味の濃いごはんに負けないようにするには、丁度これだけの餡が必要なのだとわかりました。絶妙なバランスです。

こしあん

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続いて「こしあん」。

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ごはんとあんこは同量なのではと思われるほど、こちらもたっぷりのあんこに包まれています。

いただきますと、渋みのない、どこまでもすっきりとした印象のおはぎです。餡にきちんと甘さがあるにも関わらず、餅米の自然な甘みを邪魔しないのがすごい。口溶けよく滑らかな餡は、水分多めにも関わらず小豆の濃厚さが感じられ、全く水っぽくありません。大変洗練された味わいだと感じます。やはり、ごはんとあんこはどちらが勝るとも言い難い、絶妙なバランスになっています。

きなこ

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パッケージを開ける前からきなこの香りが漂っていました。お皿に出しますと尚更です。

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この、ごはんの薄いこと!中にはこしあんがたっぷりと詰まっています。また、運ぶたびにはらはらと溢れるほど、きなこが多いのも特徴的です。香り高いきなこが、この濃厚なごはんとたっぷりのあんこに合わないわけがありません。

そしてなんと、きなこには黒ごまが混ざっているのです!ごまは丸ごと入っているのですが、ひとつのおはぎに数粒しかないのではないかしら。ちょうどごまの部分に当たりますと、ぷちっとした食感とともにごまの香りが広がり、きなこと相まって一層の香ばしさを感じます。気づかない方も多そうな隠し要素ですが、この黒ごまのアクセントが、きなこのおはぎをより味わい深いものにしていると思います。

きなこのおはぎというものは、甘みのないきなこで包まれている分、甘さが抑えられて感じられるものです。こちらも例外ではなく、「つぶあん」「こしあん」よりも甘さ控えめに感じました。

三種類いただいてみて

三つの中で、最も甘さを感じるのは「こしあん」でした。「つぶあん」は、小豆の香りと味が一番しっかりと感じられます。「きなこ」は繊細なお味と香りを楽しむおはぎ、という印象でした。

今西軒のおはぎは「つぶあん」が一番、と常々申している母ですが、今回は「こしあん」が一番美味しく感じたそうです。きっと、この寒い日には「こしあん」のこってりとした甘味らしさが気分に合ったのではと思います。父も「こしあん」推しでした。

私が一番美味しく感じたのはどれかを考えますと、「つぶあん」と「こしあん」で非常に悩むところです。しかし今回は、小豆らしさを最も楽しむことができ、おはぎが食べたい!という欲を満たしてくれた点で、「つぶあん」に軍配を上げたいと思います。「きなこ」は正直に申しまして、もう少し甘ければ、という気持ちになってしまいました。夏にいただくことがあれば、あっさりとした「きなこ」が一番!と感じるかもしれません。

 

どれも繊細でお上品な、そして何より非常に美味しいおはぎでした。甘さ控えめかつ、餅米が大変に味わい深いので、「お菓子」と「ゴハン」でいうところの「ゴハン」の性質が比較的強いように思います。餡のお砂糖が控えめだからこそ、お米の美味しさがより際立つのかもしれません。

微かに覚えていた通り、ごはんも餡も水分が多めでしたが、今回水っぽさは全く感じませんでした。志野の記事に書いたように、おはぎの「ゴハン」らしさに慣れたおかげかもしれませんし、季節的なものもあるかもしれません。ごはんがぎゅっと詰まって固かったのは間違いなく気温のせいですし、今がおはぎのベストシーズンではないことを痛感させられました。

それでも大変に美味しいと感じたのですから、もっと気候のよいときにいただけば、さらに楽しめるに違いありません。また暖かくなった頃に、京都随一といわれるおはぎを味わいたいものです。今西軒さんはタカシマヤさんにも卸しておられますから、暫くはそちらで、お持ち帰りできる機会を伺っていこうと思います。

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