ルコの甘味日記

甘いものを食べたり作ったり

京都大原、味工房 志野のお餅で迎える新年。

あけましておめでとうございます。今年も家族で新年を迎えることができました。

お正月用のお餅は大晦日に鳴海さんの本店で買うのがお決まりなのですが、ちょうど実家のポン酢が切れて、大原の「味工房 志野」まで行く用がありました。こちらはマイ・ベスト・おはぎをお作りになるお店ですから、お餅も美味しいに違いないと、今年のお餅は志野のものにいたしました。

志野は、三千院で有名な大原にあるドレッシング屋さんです。公式サイトにはこうあります。

京都・洛北の山里 大原。

この地で生まれたドレッシング屋。

元々はとんかつ屋「志野」、一品料理「志野」です。

ドレッシング屋を始めて40年、おかげさまでまだドレッシング屋です。

(引用:京都 大原 手作りドレッシング屋 味工房 志野

お餅も和菓子も欠片も関係のないこの沿革。あの今西軒さんよりも仙太郎さんよりも私好みのおはぎをお作りになるにもかかわらず、ご自身のことはあくまでドレッシング屋とおっしゃるこの姿勢、口惜しいような訳のわからないような、なんとも複雑な気持ちにさせられます。

確かに、志野のドレッシングは美味しいです。実家ではポン酢もめんつゆもごまだれも、志野のものが常備されています。ドレッシングは百貨店にも卸しておられて、東京の日本橋高島屋でも見かけたことがあります。

また、天ぷらなどのお惣菜も美味しいです。大原は京都有数のお野菜の産地で、街中でも「大原の野菜」という謳いをよく見かけます。地元のお野菜を使ったお料理はテイクアウトでも併設のレストランでも、志野のひとつの売りとなっています。

しかし志野の真骨頂は、その餅米の美味しさにあると私は思います。

京都大原 味工房志野 大原街道店

大原という場所は、私の住むところと同じ左京区にありながら、山を超えて北に随分と行ったところにあります。大きな声では言えませんが、三千院としば漬けしかない田舎、といった印象を持っている京都の方も多いのではないでしょうか。

大晦日の朝から家族三人、車で向かいました。

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こちらは三千院近くの本店ではなく、すぐ近くにある大原街道店です。やはりお餅をお目当てに来られる方が多いのでしょう、賑わっていました。

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お店の前には大原のお野菜がたくさん。

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この白菜に心惹かれたのですが、あまりに立派すぎて三人でお正月に食べ切るのは厳しいだろうという判断が下されました。人が集まるときなどに是非利用したいものです。

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中には厨房がありまして、出来たてのお品をテイクアウトすることができます。

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試食テーブル。ずらりと並んだドレッシングから、お好きなものをお試しできます。ポン酢だけで大概な種類がありますから、ありがたいサービスです。

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お餅のタワー!これは普段はありません。「つきたてのお餅の粗熱を冷ましています」と書かれており、期待が高まります。

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この日購入したものを並べてみました。お目当てのポン酢に加え、この日のお昼ごはんにお餅におはぎと大漁です。志野には食のテーマパークのような魔力があり、ついついたくさん買ってしまいます。

鯖寿司は滋賀県のお店のものですが(大原は福井〜滋賀〜京都をつなぐ鯖街道の沿線にありますから、仕入れやすいのでしょう)、炊き込みごはんと巻き寿司は志野のオリジナル。ゆばとしめじの炊き込みごはんはお出汁の効いた上品な味付けで、いかにもプロのお味です。

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このしいたけの巻き寿司、ご覧ください。分厚いしいたけの炊いたんを胡麻たっぷりの酢飯で巻いただけのお寿司で、この振り切ったシンプルさがとっても美味しいのです。

楽しい大晦日のお昼ごはんとなりました。

志野のお餅で作る、我が家のお雑煮

さて、年が明けまして本日の主役はこちらのお餅。何も入っていない、シンプルな丸餅です。

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見るからに大きくてびっくり。重さを測ったところ、ひとつ100gでした。先日のふたばの小餅の倍以上の大きさです。10個入っていますから、ちょうど1キロということですね。これで税抜き1,200円、お餅の専門店と比べるとリーズナブルなお値段設定になっています。

お餅はトースターで焼いたのをお雑煮に入れ、とろとろになるまで茹でます。それは、焼き目の香ばしさがある方が美味しく感じるから。以前、関西では焼かないというのをどこかで拝見し、一般的な京風ではないのかしらと思いましたが、

餅は焼くこともあるが、白味噌の風味を邪魔しないように、ゆで餅にすることも多い。

(引用:白味噌の雑煮 京都府 | うちの郷土料理:農林水産省

農水省のサイトでこうおっしゃっていたので、胸を撫で下ろしました。

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白味噌は石野でなくてはなりません。元日の朝に使うのは、いつもよりちょっといいやつです。

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お昆布と鰹でお出汁をとります。写真奥に見えるのは金時人参に祝大根です。

調べてみたら、どちらも関西のものなのですね。お雑煮には、直径2センチほどの細い人参とお大根を使います。それは「家族円満」の縁起をかつぎ、お野菜は全部輪切りにしないといけないからで、丸餅を使うのと同じ理由です。

細い祝大根を使わない地域の方はいちょう切りにされるのでしょうか、それともお大根がそもそも入らないのかしら。四角いお餅を使う地域もあるそうですから、角が立つのを気にされないところでは、いちょう切りでもよいのかもしれません。

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毎年お雑煮を入れるのに使っているお椀に志野のお餅を入れたら、いっぱいいっぱいになって笑ってしまいました。全然具材が入りません。少し食べておかわりをすれば問題はないので、このままいただきました。

うちの具材は人参とお大根、蒲鉾のみで、京雑煮に一般的な頭芋は入れません。お芋を入れるとお椀の中がいっぱいになるのも、食べる時に口の中がモゴモゴするのも嫌なのよ、という祖母の好みがその由縁です。娘である母も、入れてみた年もあったそうですが、家族の受けがよいわけでもなく、準備も面倒になりますので、もう入れないことにしたと申しておりました。

志野のお餅はふわふわと柔らかながらぎっしりと詰まっていて、粒感があり、お米の旨みと甘みをしっかり感じます。白味噌は大変に甘く濃いのですが、お餅の主張が勝っており、お餅が主役のお雑煮、という印象です。先日の出町ふたばさんの小餅が非常に繊細で高級感のある、和菓子に近い味わいだったのに対して、志野のものはゴハンです。よいのです、お食事ですから。むしろそうであってほしいのです。

いつもは鳴海さんの小餅を二ついただくのですが、今年は一つで大満足です。この大きさのインパクトはすごいですね。

志野のお品にはいつも、楽しい驚きとほっとするような親しみやすさがあります。それでいて家庭的になりすぎない上品さがあり、素材の活かし方はまさにプロフェッショナル。そのバランス感覚が絶妙であるように思います。次回の記事では、私一押しのおはぎなど、和菓子をいくつかご紹介する予定です。

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