ルコの甘味日記

甘いものを食べたり作ったり

桜餅のマイ・ベスト。年中食べられる、鶴屋寿の嵐山さ久ら餅。

早いものでもう三月。桜餅の季節がやってまいりました。

幼いころから、このもちもちした春色の和菓子が大好きで、「暖かくなってほしい」というより「早く桜餅が食べたい」という気持ちで春を待ち望んでいたように記憶しています。

そんな私が「人生で一番食べた桜餅は?」と問われればやはり、おはぎとセットで買ってこられていた『仙太郎』さんのものだろうと思いますが、「今の一番のお気に入りは?」に対する答えは異なります。

 

それは、嵐山にある『鶴屋寿』さんの桜餅。

我が家がこちらのお店を知ったきっかけは、数年前の婦人画報の記事でした。

www.fujingaho.jp

試しに一度買ってみたところ、なんとも品よく美味しい。それ以来、春になると父がサイクリングついでに買ってきてくれるのがお決まりとなりました。

 

嵯峨嵐山 うなぎ屋 廣川

今回記事にするにあたり、前々から父に「私を『鶴屋寿』さんに連れて行って!」とお願いしておりました。約束の日、父が予約してくれていたのは、嵐山の鰻屋さん『廣川』です。

曽祖父の代から、我が家が鰻を食べるとなればこのお店。

関西風ではなく江戸前鰻のお店ではあるのですが、嵐山といえば真っ先に思い浮かぶほど思い入れのあるお店ですので、併せてご紹介できればと思います。


f:id:microbian:20240307204340j:image

f:id:microbian:20240307204336j:image

コロナの頃からでしょうか、完全予約制になっています。

f:id:microbian:20240307204345j:image

まずはきも焼き。

お写真では焦げが目立ってしまっておりますけれど、この肝には肝特有の「苦味」や「雑味」といったものが全くありません。その苦味の無さは、物心ついたときには既に、このきも焼きが大好物になっていたほどです。

f:id:microbian:20240307204400j:image

鯉の洗い。甘みのある鯉を、なんとも美味しい酢味噌につけていただきます。

f:id:microbian:20240307204408j:image

うざく。鰻の身の美味しさを存分に堪能できます。

f:id:microbian:20240307204415j:image

うな重と肝吸い。ふわふわと柔らかい鰻は、至福のお味です。甘いたれも大好き。

何時いただいても大満足の、美味しい鰻でした。

 

京都嵐山 御菓子司 鶴屋寿

はてさて、本題に戻ります。

『鶴屋寿』さんがあるのは、メインストリートから少し離れた裏道沿い。

f:id:microbian:20240307205513j:image

大変ひっそりとしたお店構えに、観光客の方々は目もくれずに素通りしていきます。

f:id:microbian:20240307204450j:image

中に入ると、華やかなお箱がずらり。

繁忙期なのでしょう、梱包作業でとってもお忙しそうでした。


f:id:microbian:20240307204501j:image

f:id:microbian:20240307204504j:image

看板商品の「さ久ら餅」はおひとつから購入できるようですね。

最中にお汁粉、羊羹などもあります。

 

いつもの15個入りを購入いたしました。帰宅後、早速撮影会です!

 

嵐山さ久ら餅

f:id:microbian:20240307205003j:image

自宅用のサービス箱も、薄紙に包んでくださいます。

f:id:microbian:20240307205533j:image

こちらの桜餅、なんと常温で四日間(夏季は三日)のお日持ちです。流石、手土産のために作られただけのことはあります。

f:id:microbian:20240307205029j:image

開けると、ぶわっと桜の香りが広がります。

ずらりと並ぶ小ぶりな桜餅。

f:id:microbian:20240307205045j:image

おひとつ取り出してみました。底抜けの奥ゆかしさを感じます。

 

なんだか申し訳ないような、こちらまで恥ずかしくなってくるような気持ちになりますが、えいっと上の葉をめくりました。

f:id:microbian:20240307205615j:image

美しいです。

道明寺の瑞瑞しさに艶やかさ、薄く透ける赤みがかった小豆餡。惚れ惚れとしてしまいます。

こちらではお餅への着色をせず、「白い」ことが特徴。そのことも、この桜餅をさらに清楚に、奥ゆかしく魅せています。

f:id:microbian:20240307205131j:image

切ってみました。中にはこし餡。この色味も控えめで、柔らかい印象です。

 

いただきますと、大変気品のある、儚さすら感じるようなお味です。この繊細さが桜という木のイメージにぴったりで、桜餅とはかくあるべき、と思わされます。

柔らかく伸びのいいお餅が、お上品なこし餡を包み込んでいます。餡の口溶けのよさと対照的な、舌に残る道明寺の粒感と甘み、そして飲み込んだあとも続く小豆と桜の香り。個々の要素は控えめながら、全てが調和したときの豊かな味わいは何物にも代えられません。

葉っぱは薄く柔らかく、塩気が控えめ。葉まで繊細なのかと驚かされます。桜餅といただくと、しゃくしゃくとした葉脈の食感と塩気とのマリアージュを楽しむことができます。葉にはほのかな苦味があり、一緒にいただくと桜餅の甘さがさらに控えめに感じられます。

 

全体として、美しく儚い見た目に違わぬ、繊細で気高いお味の和菓子です。

一つが大層小さいので、続けて二つはいただかないと満足できません。三人家族の我が家はいつも15個入りを購入しますが、翌日には無くなってしまいます。

翌日にはお餅がやや固くなるものの、道明寺の粒々との一体感が増し、それはそれで美味しくいただけます。とはいえ、なるべく早くにいただいた方が、この桜餅の繊細さを最大限楽しめるように思います。

 

桜餅の葉っぱは食べるのか問題

今回の記事を書くにあたり、『鶴屋寿』さんについて調べていましたら、こんな記述を見つけました。

 一緒に食べなくても、すでに桜の葉の香りはしっかり染み込んでいるんだそう。

「葉そのものはちょっと苦味があるので、お取りいただいて、道明寺の風味、食感を楽しんでほしいなと思います」

出典: 白い桜餅が嵐山名物になるまで。桜餅専門店 鶴屋寿の菓子づくり | 中川政七商店の読みもの

なんと、葉っぱを食べないことを推奨されています!

 

桜餅の葉っぱ、食べるものだとばかり思っておりました。

しかし、こちらの葉は苦いので、あまり得意ではなく。「葉っぱ無しの方が美味しい...。」と内心思いながら、全剥きして食べるのはお行儀がよくないはずだと、控えておりました。

その結果、なるべく葉は葉だけで口に運ぶようにしつつ、桜餅と並行して食べ進めていたのです。

これからは、気兼ねせずに全部剥き、甘くて美味しいところだけをいただくことができます!

 

とはいえ、この葉もこだわりの上質なものです。捨てる気持ちにはどうしてもなれませんでした。この事実を知った後も、葉は葉だけでもぐもぐと、二枚ともいただいております。好きなものは後にとっておく性分ですから、「完全に捲って葉を食べる」→「桜餅をちびちびといただく」という流れが完成しました。

それでも、同時に食べ進めていたころより幸せ度アップです。

 

こちらの桜餅は、通年販売の商品です。

嵐山の主要な観光地にほど近く、常温で数日のお日持ちですから、京都土産にも最適です。

今西軒さんのおはぎにも通じるような、京都らしい繊細な桜餅。是非一度、お試しいただければと思います。

 

unagi-hirokawa.jp

www.sakuramochi.jp

にほんブログ村 スイーツブログへ

 

micropia.hateblo.jp

micropia.hateblo.jp

micropia.hateblo.jp