ルコの甘味日記

甘いものを食べたり作ったり

広島VS京都でもちもち和菓子対決!桐葉菓と阿闍梨餅・つばらつばら

旅行記の途中ですが、先にイチオシの広島土産のご紹介をしたいと思います。

広島では知らぬ人のいない銘菓、『やまだ屋』さんの「桐葉菓」です!

やまだ屋の桐葉菓
桐葉菓の原材料・カロリー
おひとつ137kcal・お日持ちは11日間でした

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こちらのお菓子は、茶道の家元さんから『お茶会の手土産になるお菓子』の相談を受けたことで生まれたそう。

「もみじ饅頭」も美味しいけれど、こちらの方がちょっと特別感があって、大好きなのです。

 

さてこの「桐葉菓」、しばしば「似ている」と言われるお菓子があります。

それが『満月』さんの京銘菓「阿闍梨餅」。

満月の阿闍梨餅
阿闍梨餅のカロリー・原材料名
こちらは122kcal、お日持ちは4日間

小さい頃から数えきれないほど食べてきた、定番のお茶菓子です。餅粉で作られたモチモチ生地であんこを包んでいるところが確かに同じ。

折角の機会ですから、「桐葉菓」と戦わせるために連れて帰りました。

 

ついでにもう一つ、京都を代表するモチモチあんこのお菓子として、『鶴屋吉信』さんの「つばらつばら」も購入。

阿闍梨餅と同じ122kcal、お日持ちは8日間

 

挑戦者は出揃いました。

これより、「どれが一番私好みか」という対決を始めたいと思います。あまりにも主観的な審査で大変恐縮ですが、お付き合いいただけますと幸いです。

審査項目は「見た目」・「皮」・「あんこ」の3つ。まずは見た目から参りましょう。

 

対決 見た目の部

桐葉菓と阿闍梨餅とつばらつばら

桐葉菓(上)、阿闍梨餅(右下)、つばらつばら(左下)

どちらも美しく仕上げておられますが、焼印を入れる一手間と、「お茶席で使う座布団をイメージ」したという四角い形状のユニークさを評価しまして、「桐葉菓」に一票を投じたいと思います。

見た目の部 勝者:桐葉菓

 

対決 皮の部

皮の部分だけをいただいたときの印象を比べていきます。

「桐葉菓」はずば抜けて皮の水分が多く、柔らかくとろけるような食感でした。求肥を思い起こすようなねっとり感とお米の味わいに、焼かれたことによる香ばしさが加わり、とても美味しいです。

 

対する「阿闍梨餅」は最も薄く、さっくりと噛み切れる食感です。ふちの部分が分厚く、もちもちなのが大好き!求肥よりもお餅に近いと思います。皮の香りは最も強く、カステラのような焦げたお砂糖の香りがして、どことなくジャンキー。焼き餅をいただいているような、最も素朴な印象を受ける皮でした。

 

「つばらつばら」の皮は一番分厚いにも関わらず、お味も香りも最も弱く感じました。これは「どら焼き」風の、小麦粉を主材料とする皮ならでは。焼きも弱いため、香ばしさの点でも非常に控えめな印象を受けます。特筆すべきはその食感で、「どら焼き」にあるまじきモチモチ加減。これを楽しむために作られた皮!という感じがいたしました。

 

「お米っておいしい!」という気持ちになれる強い旨みと香ばしさ、小さいときから慣れ親しんでいる懐かしさ、そして「求肥よりもお餅が好き」という完全に個人的な好みにより、「阿闍梨餅」に軍配を上げたいと思います。

ただし、この中で圧倒的に日持ちしないのが「阿闍梨餅」です。なるべくその日のうちにいただかなければ、あっという間に皮が固くなり、モギュモギュした食感になってしまいます(その際には温め直しやアレンジが推奨されています)。「阿闍梨餅」ならではの幸福感は、足の早さとトレードオフなのでした。

皮の部 勝者:阿闍梨餅

 

対決 あんこの部

和菓子の肝ともいえる「あんこ」。まずは断面の様子をご覧ください。

桐葉菓・阿闍梨餅・つばらつばらの断面(あんこ)

桐葉菓(上)、阿闍梨餅(右下)、つばらつばら(左下)

桐葉菓のみ、あんこの色がやや薄いですね。これは、やまだ屋さんのこし餡が「さらしあん」であるため。

やまだ屋のあんは宮島の伝統的な製法の、小豆の中の芯の部分のみで作る贅沢な「こしあん(さらしあん)」です。

やまだ屋のこしあんは小豆を煮てその表皮をていねいに取り除き、何度も水にさらすことによって雑味を取り去り上質な砂糖のみを加えて練り上げています。口溶けが良く素材の風味を活かしたあっさりと上品な甘さと透明感のある淡い色合いが特徴です。

(出典:桐葉菓(とうようか) | もみじ饅頭 桐葉菓(とうようか) 宮島の老舗 やまだ屋オンラインショップ

このあんこは、甘党の脳を蕩けさせる甘さ。

こし餡につぶ餡を混ぜ込んでおられるため、小豆の皮の香りがしっかりと感じられ、甘めではありますが「丁寧に作られた美味しいあんこ」だと思いました。

 

ライバル「阿闍梨餅」のあんこは、最も小豆の香りと味を弱く感じました。水分の少ない、濃密なあんこなのに不思議です。その分たっぷりと入れておられることで、バランスをとっておられるのかもしれません。

 

惚れ惚れとしたのが「つばらつばら」のあんこです。水分の多いとろとろの粒あんは小豆の華やかな香りと濃厚な味わいに満ち、「これぞ京都のあんこ!」という感じがいたしました。甘さは非常に控えめ。

全ての挑戦者を薙ぎ倒して凛とセンターに立つ姿が目に浮かぶような、完成されたあんこでした。

あんこの部 勝者:つばらつばら

 

対決 総合評価

それでは、総評に移ります。

「桐葉菓」は甘みが最も強く、いただいたときの満足感では一番です。ねっとりとした皮の食感が独特で、好きな人はハマること間違いなし。中のあんこの小豆感も申し分ありませんでした。全体としては「あんこ主役」のお菓子で、皮は香ばしさと楽しい食感を添えてくれる名脇役、という印象です。

お煎茶をたっぷりと淹れて、ちびちびと食べながらゆっくりお喋りを楽しむような、そんな時間にぴったりのお菓子だと思います。

 

「阿闍梨餅」は皮の強い旨みとたっぷりの甘いあんこが拮抗し、やや皮が優勢の印象を受けました。「甘いお餅食べてる!」という幸福感は、他の追随を許しません。

この素朴さには、ほうじ茶がよく合います。幼き日、おばあちゃんのおうちで、こたつに蜜柑とともに積んであるのを手に取り、もぐもぐと食べていたのを思い出しました。そんなふうに食べるのが一番美味しい、まさに「お茶請け」に最適なお菓子です。

 

「つばらつばら」をいただいて感じたのはその「上品さ」。最も甘さは控えめ、しかし小豆の香りからくる高級感が満足度に直結します。この上質のあんこを際立たせるため、敢えて皮の焼きを弱くし、風味が喧嘩しないようにしておられるのだと感じました。それでいて、もっちりとした面白い食感を作り出しておられるのは流石です。

こちらはリモートワークの日などに「今日はつばらつばら食べるんだ〜」と楽しみに置いておいて、「よし、休憩だ!」となったときにお煎茶か、虎の子の玉露を淹れ、いただくのに丁度いいお菓子のように思いました。

 

そんなわけで、それぞれ個性があり、面白い食べ比べとなりました。

総合評価 勝者:シチュエーションによる

 

番外編 次なる挑戦者になりうるお菓子

にしき堂の生もみじ、こしあんと粒あん

『にしき堂』さんの「生もみじ」

近年、「桐葉菓」より人気だと思われる「生もみじ」。一度、お友達に買ってきていただきました。

柚子香る爽やかな「こしあん」とたっぷり小豆の「粒あん」があります。どちらも大変美味しくいただきましたが、やや「もみじ饅頭」の枠を出られていない印象があり、「それなら普通のの方が好きかも...」ということで、お願いしなくなってしまいました。

 

平安殿・粟田焼
粟田焼
粟田焼の断面
『平安殿』さんの「粟田焼」

こちらは私の大好物。「阿闍梨餅」より日持ちするため、よく京都土産にするお菓子でもあります。

甘じょっぱいみたらし味で、ちょっと田舎臭いような、でもどうしようもなく美味しい!となるお菓子。生地はねっとりモチモチ系で、「桐葉菓」に近いかもしれません。

 

金沢土産・森八
森八の宝達
宝達の断面
金沢『森八』さんの「宝達」

こちらは金沢でいただいた「宝達」。「つばらつばら」によく似ていますね。こちらの方があんこの水分が少なく、お饅頭らしさを感じました。

 

全国各地にある、もちもち生地×あんこの和菓子。これからも探していきたいと思います。

 

yamadaya-shop.jp

www.ajyarimochi.com

www.tsuruyayoshinobu.jp

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