京都の人はパン好き、というのは有名な話です。
市内にもたくさんの人気店がありますが、京都「府」全体で一番人気のパン屋さんがどこか、ご存知でしょうか。
食べログの「京都のパンのお店」ランキングで絶対王者として君臨している『たま木亭』。
このパン屋さんは、宇治の『黄檗』という超マイナーな町にあります。
『黄檗』は、大学と自衛隊の駐屯地がある以外は、ごくありふれた住宅街。にもかかわらず、パンを買うために連日たくさんの人が訪れ、列を成しているのです。
私が『たま木亭』を知ったのは、大学の宇治キャンパスに通っていた頃です。
やたら人の並んでいるお店がキャンパスの目の前にあり、「そんなに美味しいの?」と半信半疑で買ってみたら、世界が変わってしまうほどの美味しさ。すぐに両親に布教しました。
私が宇治を離れた後も、「たま木の味」を知ってしまった私たちは、もう他のパン屋さんでは満足できません。数ヶ月に一度は、両親が宇治まで行って、大きな紙袋とクーラーボックスいっぱいのパンを買ってきてくれるようになりました。
京都宇治 たま木亭
先日、古巣の研究室を訪れた折、『たま木亭』にも寄ってまいりました。
平日の朝だったため、それほど並ばず入店できました。
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『たま木亭』の魅力の一つは、パンのバリエーションの多さ。この種類と人の多さに圧倒されますと、つい買いすぎてしまうので、気をつけなければなりません。
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お目当てをゲットし、お店を出てきました。
大学構内のセブンで飲み物を購入し、準備は万全です。
この上が飲食可のスペースになっているので、そちらで食べようと階段を登ると、
「本日貸切」の文字が!
当てが外れてしまいました。どうしよう。
そうだ、食堂に行きましょう。持ち込み飲食はお行儀がよくありませんが、今の時間なら混んではいないはず。
食堂はまだ開いていませんでした。ああもう、これだから宇治キャンは!
朝食をサラダだけにしてきたので、お腹はぺこぺこ。仕方がありません。お外でいただきましょう。
この、食堂裏手にあるテラスには、少々思い入れがあります。
宇治にいた頃の研究室には、みんなでランチに行く慣習がありました。教授が「今日はあったかいからね、外で食べましょう」などとおっしゃった日には、食堂のトレイをこの机に並べ、お昼をいただいたのです。てんとう虫などの訪問を受けながら春の日を浴びてお食事したことは、大切な思い出になっています。
二月某日、お天気は曇り。かなり寒くはありますが、やっと落ち着くことができました。
ここからは、ほとんど全ての『たま木亭』のパンを食べたことのある私が選ぶ、おすすめの品々をご紹介いたします。
フォカッチャサンド(えび)
もっちりとしたベーグルのようなパンに、エビとワカモレを挟んだこちら。
食べた瞬間、ぶわっと広がるバターの香りと小麦の旨み。塩味の効いたアボカドとエビが、しっとりもちもちの、食べ応えのあるパンによく合います。このアボカドに明太子が混ぜられているのが、旨みを爆発させています。全てのワカモレに明太子を標準装備させてほしい。
たまごカツサンド
カツサンドとたまごサンドが一つずつ入ったセットです。
こちらのカツサンドは、最後の晩餐に選びたいくらいの大好物。柔らかく肉々しいお肉に、もっちりとして旨みの強い食パン、そして絶妙に美味しい甘めのソースが合わさった、至高の一品です。たまごサンドはオーソドックスなスタイル。
実はこちら、パックを開いた瞬間に「しまった!」と思いました。
いつも両親は『カツサンド』と『たまごサンド』を別々に買ってきてくれるのですが、今日は一人だし、とミックスを買ってみたのです。
すると、『カツサンド』では挟まっているキャベツが無いではありませんか!
どうやら、ミックスのパックに入っているカツサンドは、単体のパックの物と異なり、キャベツが入らないようです。『たま木亭』のカツサンドの真骨頂はあのキャベツにあるのに、これでは美味しさ八掛けぐらいになってしまっています。
キャベツが居なくても、カツサンドとしてずば抜けて私好みなことには変わりませんが、いつもの食べたかったな…。
3種のガレット
クルミ・チョコ・クランベリーを包み込み、薄く焼かれた甘ーいパン。
『たま木亭』の菓子パンの中で、一番好きなのがこれです。宇治に通っていた頃はよく朝食にしていました。
断面を見ていただくと分かる通り、「ほとんど具」です。生地は具を繋げるためだけに使われている、というくらい。
この、パン屋さんなのに美味しさ追求したらこうなっちゃった、みたいな妥協の無さが大好きです。
ナッツにチョコにドライフルーツまで入っているこちらは、食べる場所によって、かなり違った味わいになるのが特徴です。甘酸っぱいクランベリー、サクッとしたクルミとガリガリのザラメの食感、甘いチョコレート、噛むほどに感じる小麦の旨み。これらが組み合わさりながら、お味がくるくると変化していくのが楽しく、食べる人を飽きさせません。
山栗ショコラ
こちらは、いかにも母好みだったため、よくお土産に買って帰っていました。
我が家では『栗鼠殺し』という物騒な呼び名がついています。このクルミを全身に纏った姿でリスをおびき寄せ、その美味しさでショック死させてしまいそう、というのが名前の由来です。
断面がこちら。容赦ない栗の量。
過剰では、と思えるようなクルミは、このぎっしり詰まった栗と、やはり遠慮なく混ぜ込まれたチョコレートと調和して、驚くほどバランスのとれた仕上がりになります。
ひと口ひと口、甘さと美味しさの密度の高さにクラクラしてくるようなパンです。
今回は一人で食べ切れる量を、ということで、特に好きなものをセレクトしました。まだまだオススメがたくさんありますので、また両親が買ってきてくれた時などにご紹介していければと思います。
『たま木亭』は催事やレストラン等への卸しを絶対にしないことで知られていますが、実は東京にも、こちらのパンを買うことのできる場所があります。看板商品クニャーネの専門店、『クニャーネの店』です。有楽町と吉祥寺にございますので、お近くにお住まいの方は、よろしければチェックしてみてください。
また、今回の記事にあったセブンイレブンやその上の休憩スペース、食堂などは学外の方も利用可能ですので、参考にしていただければ幸いです。