ルコの甘味日記

甘いものを食べたり作ったり

永楽屋名物。母の焦がれた超巨大おはぎと、お彼岸限定金胡麻おはぎ。

お彼岸がやってまいりました!

昨年末から年始にかけて訪れたマイブームにより、季節外れのおはぎネタを投稿し続けていた当ブログですが、やっと季節のお菓子としておはぎをご紹介することができます。

 

本日ご紹介するのは、『京佃煮・京菓子 永楽屋』さんのおはぎです。

『永楽屋』さんは「京のあまからや」として、「あまいもの」と「からいもの」の両方をお作りになるお店です。佃煮やお菓子の詰合せをいただく機会は多いものの、生菓子をいただくことはほとんど無く育ってまいりました。

 

しかし、母はこちらのおはぎに特別な思い入れがあると申します。

『永楽屋』さんの本店は四条河原町のど真ん中。京都に住んでいれば否が応でも前を通る立地にあります。

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そして母が若かりし頃、このショーケースにはいつでも「大判おはぎ」があったとか。

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木箱いっぱいに詰められた、あまりにも巨大なお供え用のおはぎ。

「これをお弁当箱のように抱え、ひとりで全部食べることができたら、どんなに幸せなことか...。」

生粋の甘党である母は、前を通るたびにこちらのおはぎに目を奪われ、いつか実現する日を夢見たのだそう。

 

時は流れ、「お供え用のおはぎ」の需要が減ってしまったためでしょうか、名物だった「大判おはぎ」はショーケースから姿を消しました。

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しかし現在も、週末限定で販売を続けておられます。

また、お彼岸の期間は、小さいサイズのおはぎもお作りになります。こちらは「小豆」「きなこ」「金胡麻」の三種類。

本日はこのおはぎたちと「みかさ」をご紹介できればと思います。

永楽屋名物 大判おはぎ

折詰に「小豆」と「きなこ」、二種類のおはぎが詰められています。

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重さを測ってみますと、おひとつ280gでした。あの『松屋』さんのおはぎでも約250gだそうですから、それを超える大きさ。通常のおはぎの四つ分だそうです。

小豆

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まずは、定番の粒あんから。お皿に出してみますと、ますますの迫力です。

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いただいてみますと、王道ど真ん中をいくような、完成されたおはぎです。素朴というよりは上質で、ああ、美味しい、となるようなお味。これにはご先祖様も文句のつけどころがないに違いありません。

『松屋』さんなどと比べるとごはんの比率が多く、もちもちと柔らかな餅米からは旨みと香りがしっかりと感じられます。『松屋』さん『今西軒』さんに比べごはんの水分は少なめ。あんこは上品な甘さで柔らかく炊かれており、粒あんなのにすうっと消えていくような軽やかさです。

きなこ

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続いてはきなこ。

ごはんの湿気を吸ってしっとりとしています。

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こちらは特に、お米の主張が強いように感じました。ごはんには粒感がほとんど残されておらず、お餅のよう。お箸で割くときの抵抗がすごいのですけれど、口に運ぶと全く固さを感じず、もっちもっちと均一な柔らかさを存分に楽しむことができます。

滑らかで軽やかなこし餡と香り良いきなこは、この美味しいごはんを引き立てる名脇役です。こんなにたっぷり入っているのに、あんこを控えめに感じるのは面白いですね。

 

どちらも餅米が主役で、口に運ぶとふわーっと幸せになるようなお品でした。

おはぎの二要素「お菓子」と「ゴハン」でいえば完全に「ゴハン」に寄っており、たくさん食べても甘さでやられることはありません。流石に折詰まるごととなるとお腹が苦しくなってしまいそうですけれど、二人で一箱でしたらなんとか頑張れそうです。お墓参りで山を登ったあとに食べたい、どこかおにぎりを思い出させるようなおはぎでした。

お彼岸限定 おはぎ 金胡麻

こちらは、お彼岸の期間のみお作りになる金胡麻のおはぎです。

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ごまのおはぎは、以前『志野』のものをいただいて「定番の方が好き」などと申しておりましたが、こちらはいかがでしょう。

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......!これは、美味しいです!

こし餡の中に胡麻が使われているようで、このあんこの爽やかさはいくらでも食べられてしまいそうです。表面の胡麻は香ばしく、ポリポリとした食感が楽しい。ごはんはモチモチとろりと柔らかく、これ自体の旨みも感じます。

『志野』の黒ごまのおはぎには中華の胡麻団子を強く感じたのですが、こちらのおはぎから胡麻団子を想起することはありませんでした。材料はほとんど一緒でしょうに、不思議なものです。あんこが特徴的だからでしょうか?

新しく、それでいて奇抜ではない、スタイリッシュなお味のおはぎです。非常にすっきりとした味わいでバランスがよく、「垢抜けている」と感じました。

みかさ(三笠/どら焼き)

最後にご紹介するのは、こちらも名物の「みかさ」です。

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関西ではどら焼きを「みかさ」と呼びます。

こちらでは毎朝焼きたてを販売されており、お日持ちは翌日まで。生菓子に近い感覚です。

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いただいてみますと、皮の生地にかなり歯応えのある、昔ながらのみかさです。中のあんこの美味しさが秀逸で、粒の残った固めの粒あんが、ごろごろと贅沢に混ぜ込まれた栗とよく合います。ねっとりと甘いあんこに対して、皮の甘さは控えめ。皮は卵と蜂蜜が香りよく、お味自体はよいのですが、食感がごわっとして感じられるのが、私個人の好みからはやや離れるように思いました。

この「みかさ」は、若き日の母の「みかさのマイ・ベスト」だったそうですが、最近の母のお気に入りは『京阿月』さんのものだそう。こちらについてもいずれ記事にできればと思っております。

 

馴染み深い『永楽屋』さんの生菓子は、どれも間違いない美味しさでした。この日には売り切れてしまっておりましたが、桜餅など季節の和菓子もいろいろと作っておられますので、また機会があればお試ししたいと思います。

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ソウル旅行記5 伝統菓子、パンスイス、帰国

【2024年2月韓国旅行|目次】
ソウル旅行記1 計画、出発、夜市で晩ごはん
ソウル旅行記2 茹でカイコ、美術館、パン屋さん
ソウル旅行記3 クッキー、人間味のあるロボット、参鶏湯
ソウル旅行記4 朝カフェ、ローカルなお祭りと商店街
ソウル旅行記5 伝統菓子、パンスイス、帰国
ソウル旅行記6 辛ラーメン、蟹ダシダ、首カイロ

 

前回に引き続き、ローカルな商店街を歩きます。

伝統菓子「薬菓」と高級マンション

見慣れないものがずらりと並ぶお菓子屋さん

こちらで韓国の伝統的なお菓子「薬菓(ヤックァ)」を購入しました。

三枚で2,000ウォン(225円)でした。お買い得です

もう数年前になるでしょうか、こちらの動画で知ってからずっと「いつかお試ししたい」と思っていたのです。

www.instagram.com

「なんて罪深いお菓子!」というのが第一印象。だって、油を混ぜた生地を揚げ、さらに蜜に漬けるのです。最近流行りの、薬菓の載ったクッキーなどではなく、昔からずっと食べられてきたオリジナルを食べてみたい。そう思っておりましたので、この商店街のお店はうってつけでした。

直径七センチほど。中はみっちみちです

いただいてみますと、シロップのおかげか、そこまで油っこくありません。黒糖が香り、サーターアンダギーを蜜に漬けてぎゅっと押し潰したような感じ。甘さ控えめで癖がなく、「また食べたい」と思うくらいには美味しかったです。スパイスが入ることが多いようですが、原材料を機械翻訳で見てみた限り、こちらの薬菓には入っていないようでした。

ちなみにおひとつ242キロカロリー。ポン・デ・リングやハニーディップといったドーナツを余裕で超えています。ぎゅうぎゅうにエネルギーが詰まっていますね!

パン屋さん。菓子パン・ケーキ多め

このパン屋さんのお向かいは、立体駐車場のあるような、とても大きくて立派なビル群でした。「ホテルかしら?それにしては大きすぎるような。しかも、こんな商店街の真ん前に?」と不思議に思いつつ進むと、『LOTTE CASTLE』の看板が。

ロッテのお城...。もしかしてマンション?  

 

調べてみると、ビンゴです。

www.lottecon.co.kr

こんなところに高級マンションがあるなんて、それもロッテが運営しているなんて。商店街の賑わいはこちらの住人のおかげなのかもしれませんし、こちらにお住まいの方々はもっと綺麗で高級なスーパーに行くのかもしれません。いろいろと想像が掻き立てられました。

ショッピングモールにホテルにこのマンション、駅の自販機など、韓国で『LOTTE』を見る機会の多さには驚かされます。何気なく買ったペットボトルのお水までロッテでした。走っている車は『Hyundai』ばかり。韓国における財閥の強さをひしひしと感じます。

 

キャロットケーキと念願のパンスイス

お目当てのカフェ『OUDE BAKERY』
フランス風のパンと、アメリカンなお菓子

パンスイスとキャロットケーキ

「パンスイス」というヴィエノワズリー、東京にはいくつか食べられるお店があるそうで、こちらの記事を拝読してから気になっていました。

www.elle.com

早く京都までトレンドが来ないものか、と待ち構えていたのです。それをまさか、韓国で初めて食べることになるとは思いもしませんでした。

断面

パンスイスの中にはカスタードクリームとチョコレートチップ。温め直してくださるため、どちらもとろとろに溶けています。これをサクサクのクロワッサン生地といただいて、美味しくないはずがありません。やはり甘さが控えめなので、軽くいただけます。

キャロットケーキは、クランブル、スポンジ、クリームフロスティング、全ての構成要素から塩分を感じます。持論で恐縮ですが、キャロットケーキは塩気が効いて、どこかおかずっぽい雰囲気がある方が美味しいと思います。ですから、このケーキは大変に気に入りました。クリームがふわっと軽いのも私好みです。

 

あまりにケーキを気に入ったので、両親と食べようとお土産を買って帰りました。

チョコレートクッキーとキャラメルフィナンシェ

どちらも濃厚でリッチな味わいで、美味しかったです。

『OUDE BAKERY』のお品は技術の面でも素材の面でもレベルが高く、「お店ごと京都に持って帰りたい」と思うほどお気に入りとなりました。

 

帰国

19時ごろのアシアナ航空で帰国しました。

さよならソウルの街

空から見るソウルの夜景はきらきらとして、大変綺麗でした。  

『Miso Cream Chicken with rice』

機内食は「チキンの味噌クリーム煮・ライス添え」というなかなか攻めた一品。

このお味噌は辛くない日本風のもので、ほっこりと優しいシチューのようなお味。鶏肉もほろほろで美味しかったです。ここに例の激辛コチジャンが加わると、お味のテイストはそのままで辛味が足されます。それはそれで美味しくはありましたが、コチジャン無しでいただく方が私は好きでした。 

 

旅全体を通して印象的だったこと

日本に関心を持つ方の多さ

ホテルや観光客に人気のお店で働いておられる方々の流暢さは言わずもがな、一般の方でも日本語のわかる方が多いようでした。行きの飛行機で「かばん出しますか?」と聞いてくださった方もそうですし、私の不注意からぶつかってしまったとき、口を衝いて出た「すみません」に対して「大丈夫ですよ」と応えてくださった方もいらっしゃいました。

丁度私が帰国したころ、韓国の方の「対日好感度」が過去最高だというニュースを見かけました。訪日韓国人数は訪韓日本人数よりずっと多いことが知られており、実際に飛行機では日本人よりも向こうの方、特に若年〜中年層が多いと感じました。

韓国の方々の日本に対するポジティブな感情がこれほど強いとは、実際に行ってみるまで想像もしておりませんでした。

欧米系観光客の少なさ

これは私の住んでいる京都との比較になりますが、外国人観光客に占める欧米人の割合が明らかに少ないです。日本に比べると、そちらの方々には行き先として選ばれにくいのかもしれません。

外国人観光客の恐らく半分以上が日本人、残りのほとんどが中国系と東南アジア系でした。東南アジアの方が多い理由は、「日本より距離的に近い」こともあるでしょうけれど、「韓国発コンテンツのマーケティングが大成功している」のが大きいのではないかと考えております。今回同行したインドネシア人のお友達によれば、彼女は小学生の時からK-popや韓流ドラマに親しみ、韓国語の勉強を始めていました。フィリピン人の友人も韓流ドラマが大好き。自国発コンテンツに乏しい東南アジアの国々でそういったコンテンツが人気となり、聖地巡礼のために韓国を訪れる方が多いのではないでしょうか。

食文化について

韓国における「あんこ」の身近さには驚かされました。ホットックなど伝統的なお菓子にも小豆餡が使われますし、多くのカフェで「あんバターパン」をお作りになっていました。現地でいただいた「あんこ」が完全に日本と同じだったことから、和菓子との密接な関係を感じました。

もうひとつ驚いたのはカフェの多さです。大通りに面して切れ目なく飲食店が並び、その多くがスターバックスやベーカリー、ハンバーガー屋さんなどのチェーン店。日本に比べてファミレスや牛丼屋さんのような「食事」のためのチェーン店が少なく、また深夜までやっているカフェが多いことを考えると、ランチやディナーのためにカフェを利用する方が多いのでは、と思いました。

 

韓国でいただいものの印象をまとめると、「お料理の塩分は控えめ、味の濃さは辛さで調節」「お菓子の甘さは控えめ、塩分は多めで甘じょっぱさを楽しむ」となります。

お食事の塩分は強くないのにお菓子の塩分は強い、というのは面白い傾向です。「お菓子も食事の一種」という感覚が日本より強いのかもしれません。これもカフェ利用が盛んな一因になっているのではないかしら。

洋菓子のクリームが軽く仕上げてあったのは、生クリームの苦手な私には大変ありがたく、「これ日本でも食べたい...!」というお菓子の連続でした。

 

次回の旅行記は、買ってきたお土産をいろいろと食べる記事にしたいと思います。

あと少し、お付き合いいただければ幸いです。

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創業670年の老舗、塩瀬総本家の生菓子四種。長命寺桜餅に初挑戦!

先日、こんなハンカチを手に入れました。

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『近沢レース』さんの、「桜餅」のタオルハンカチです。

その可愛らしさと遊び心に一目惚れ。ポチっとしてしまいました。

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このレースには、二種類の桜餅がデザインされています。

桜餅には関東風の長命寺(ちょうめいじ)と関西風の道明寺(どうみょうじ)があるのをご存じですか?

(中略)あなたはどちらの桜餅がお好みですか?コミュニケーションツールとしてお使い頂ける、楽しいハンカチです。

出典:シーズンタオルハンカチ/桜餅(イエローグリーン) | 横浜元町 近沢レース店

京都に育った私が慣れ親しんできたのは、もちろん「道明寺」の桜餅。関東風はいただいたことがありません。こちらのハンカチを眺めながら、「長命寺」の桜餅を一度食べてみねばと思っておりました。

 

御菓子老舗 塩瀬総本家 日本橋三越店

そこで、先日東京に行った際、家族へのお土産を関東風の桜餅にいたしました。

日本橋三越さんの和菓子売り場は、今の時期、そこかしこから桜の香りがいたします。一軒一軒、桜餅を探して回りますと、意外なことに関西風の桜餅も多く見られました。そもそも京都など、関西が発祥のお店も多いからでしょうか。

たくさんある桜餅。どちらのものがよいか分からず、とにかく本店が東京にあって、聞いたことのあるお店を、という思いから選んだのがこちら。

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『塩瀬総本家』さんです。桜餅といくつかの生菓子をお持ち帰りいたしました。

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お箱には「日本第一番本饅頭所」の文字。

沿革の紙を拝見して、その歴史の長さに驚きました。

貞和5年(1349) 初代林浄因が中国より来日、奈良に住し日本で初めて餡入りの饅頭を作り売り出し紫庭に上がる。

出典:沿革 – 塩瀬総本家

なんと起こりは14世紀。『とらや』さんも形無しです。

日本の「お饅頭」の元祖であり、以来時の宮家や武将の方々に愛されてきたと。古くは京都を拠点にされていましたが、寛政10年(1798)に「京都塩瀬家」が「絶家」してからは完全に江戸に移られたようで、現在も首都圏にしか店舗を出しておられません。

そんな由緒正しいお店だなんて、これはいただくのが一層楽しみです!

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箱の中には、購入した生菓子がぴったりと収められています。一つずつご紹介させていただきます。

さくら餅

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まずはお目当て、桜餅から参りましょう。

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ロールケーキのようにくるりと巻かれたこの姿。そうです、これを食べてみたかったのです!

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ねっとりしっとりとした小麦の生地、あえて喩えるとすれば蒸しパンでしょうか。これが、慣れ親しんだ桜葉とこし餡と組み合わされているのが、大変新鮮に感じます。さくりと歯切れのよい食感に「これはお餅といえるのかしら…?」と思ってしまいますが、桜餅の歴史からすればこちらが正統派。

「桜餅」だと思っていただきますと、どうしても違和感を強く感じてしまいますが、和菓子としては美味しく、バランスがとれていると感じました。

本饅頭

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徳川家康公に愛されたという、大変歴史のあるお饅頭です。他の生菓子は当日中だったのに対し、これは三日のお日持ちでした。

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ただのあんこの塊かと思いきや、金鍔のような薄い皮で包まれています。この皮の薄さは、職人さんの技術の賜物に違いありません。

いただきますと、小豆の香りと旨みがダイレクトに伝わってまいります。最低限の水分量で固められた餡は、滑らかなこし餡と固めの粒あんを混ぜておられるようで、楽しい食感。しっかりとした甘さと蜜感があります。

この固さと水分の少なさは、中世の時代に持ち運びや衛生面での問題がないよう工夫された結果なのでしょう。それが美味しさと両立した結果、四百年以上にわたって愛され続け、私の口に入るに至ったのだと考えますと、なんだかしみじみとした気持ちになりました。

豆大福

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「これぞ塩瀬のスタンダード」の謳い文句に引かれて購入しました。

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滑らかなこし餡が洗練された味わいで、申し分なく美味しいです。豆大福といえば、の『ふたば』さんの豆餅に比べると赤えんどうの主張が弱く、甘みがしっかりとしているようです。

何よりの特徴は、お餅のしっかり感。「今朝作られて、時間経過で固くなりました」という感じがありありとしました。買った日の夕方にいただいてこれとは、餅米から昔ながらの手法で作っておられるのがよくわかります。旨みが強く、塩気の効いた美味しいお餅で、機会があれば朝一番にいただいてみたいと思いました。

草餅

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もう一つ季節の生菓子を、ということで選んだのがこちら。

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蓬が香りよい、お上品な草餅です。こし餡はあっさりとしていて、春の軽やかさを感じます。お餅は上新粉をベースにされているそうで、豆大福とは全く異なるねっとりとした食感。

草餅というものは、蓬の苦味ゆえか、甘さ控えめであるように感じることが多いのですが、こちらのものはちょうど良い甘さだと感じました。あんこがたっぷりだからかもしれません。

 

『塩瀬総本家』さんの生菓子はどれも品良く丁寧に作られた印象を受けました。原材料を見ましても非常にシンプルで、歴史と伝統を大切にしておられるのを感じます。

『榮太郎総本舗』さんのあんこには力強さと勢いがありましたが、それに比べると『塩瀬』さんのあんこは控えめで落ち着いた美味しさで、普段いただいている京都の和菓子屋さんに近いように感じました。

また、東京の和菓子はあんこが主役で、皮が薄いものが多いと感じておりましたが、こちらの豆大福はお餅が主役。ひとまとめにして語ってはならないな、と身の引き締まる思いです。

 

桜餅の元祖は、向島にある『山本や』さんの「長命寺桜もち」だと言われております。通年販売されている「白い」桜餅という点で、先日ご紹介した嵐山さ久ら餅に通じるところがあります。

やはりこちらをいただかなくては桜餅は語れない!ということで、また東京に行く際、伺いたいと思っております。

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ソウル旅行記4 朝カフェ、ローカルなお祭りと商店街

【2024年2月韓国旅行|目次】
ソウル旅行記1 計画、出発、夜市で晩ごはん
ソウル旅行記2 茹でカイコ、美術館、パン屋さん
ソウル旅行記3 クッキー、人間味のあるロボット、参鶏湯
ソウル旅行記4 朝カフェ、ローカルなお祭りと商店街
ソウル旅行記5 伝統菓子、パンスイス、帰国
ソウル旅行記6 辛ラーメン、蟹ダシダ、首カイロ

 

最終日の朝、胸焼けとともに明け方起床です。胃もたれするようなメニューは食べた記憶がありません。恐らくただの食べ過ぎでしょう。常備薬である太田胃酸のお世話になります。

この日の予定はカフェ巡り。胃が持ち堪えられるかが心配です。

 

再開発地域で朝カフェのはしご

ホテルをチェックアウトし、向かったのは『聖水洞』です。この辺りは元々、工場や倉庫の立ち並ぶ工業集積地でした。それが近年、再開発によるオシャレ化が著しく、注目されているのだそう。

ひとつめのカフェ『KOKKILI BAGEL』

あんこを丸めておられました

こちらのベーグル屋さんでは、あんこのトッピングが人気です。とてもとても気になりましたが、あんこに合うのはたっぷりのクリームを挟んだベーグルとのこと。

この左端のものです。奥はベーグルを焼くピザ釜

そんなヘビーなものを弱った胃が受け付けてくれると思えず、断念しました。

代わりに選んだ「Chocolate & Salt」

チョコレートのベーグルとハーブティーでお茶を濁します。

まだ温かいベーグルをいただきますと、もちもちしていながら、ふわりと柔らかい生地。食感だけでしたら『たま木亭』のフォカッチャによく似ています。中のチョコチップはとろりと溶けていて、甘さはほとんどありません。全体にあっさりとしていたので、何かを挟むか、甘いドリンクといただくと、より美味しくいただけるように思いました。

 

もう一軒、すぐ近くのカフェへ。

こちらのカフェ、正直に申しまして、遠目に潰れていると思いました。

ふたつめのカフェ『onion』

鮮やかで美しいスイーツが並びます

「え、やってる?」と言いながら中に入ると、なんとも鮮やかな商品たち。しかも、どれも大変に美味しそうなのです。

このギャップには本当に驚かされました。

イートインスペース。元は廃工場だったそう
「Mochi Sandwich」と「Shine Muscat Croissant」

モチサンドは、コッペパンのような、特にモチモチというわけではないパンに、お野菜やチーズ、ハムが挟まれています。モチ要素がどこにあるのかは不明ですが、バジルソースが純粋に美味しくて、とっても気に入りました。シンプルにお料理の上手なお惣菜パン、という印象です。

続いていただいたのは、マスカットのクロワッサン。クリームチーズが入っているのかしら、ふわっと軽いクリームには脂っこさが全くなく、胃に不安を抱えた私でもスルスルと食べられます。マスカットが爽やかなアクセントに。クロワッサンも軽い食感でありながら、バターがしっかりと感じられて美味しいです。

どちらのパンも全体に軽く、あっさりしています。基本的に生クリームやこってりしたチーズを好まない私には、驚くほど好みのお品でした。

コンセプトありきのカフェかと思いきや、なかなかやるではありませんか...!

 

帰国後、シャインマスカットは日本からの輸入なのかしら、と調べてみると、こんな記事が出てきました。

日本産高級ブドウの、韓国・中国への流出が止まらない。シャインマスカットだけでも、日本側の経済損失は年間100億円以上と言われる。

出典:韓国で、日本産高級ブドウ流出は「日本が悪い」の論調が変わってきた理由 | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン

このシャインマスカットも、韓国で不正に栽培されたものだったのでしょうか。

少なくともこちらで食べたものは皮がぱりっと薄く、甘みはそこまで強くないものの、日本でもこれくらいのものはよくあるよね、という品質でした。そのため、特に違和感なくいただいていたのですけれど、今になって権利問題を孕んでいたことを知り、ショックを受けています。どうか、日本から真っ当に輸入されたものでありますように。

 

雪まつりで雪そりを滑る

その後は、ローカルなお祭り『漢江冬フェスタ』に参加しました。

6,000ウォン(674円)の入場料を払うと、メインのアトラクションである「雪そり」を楽しむことができます。

特設の雪そり台。滑っていますね!

その辺に置いてあるそりを借ります

ピーッという笛を合図に、最前列の人達が滑り降りるシステム

そこそこ高さがあります

滑ってみますと、守る装備がない分、下手なジェットコースターより怖いです。ウォータースライダーに近い恐怖感。大阪のスパワールドにはスライダーがあり、大変に怖いものなのですが、こちらはそれよりはマシでした。

しかしながら大人でも十分に楽しめる、ちょうど良いスリル感です。

 

トッポッキや韓国おでんなどの屋台や、有料のアトラクションもあり、家族連れを中心に賑わっていました。見事に韓国の方ばかり。

屋台いろいろ。インスタントラーメンの屋台は珍しい、と思いました
トランポリンで跳ねるアトラクションと、レトロなアトラクション

金魚掬い

こちらの金魚掬い、柄の長いザルのようなものをポイとして使っておられました。絶対破れないなんて簡単すぎやしないかしらと思いましたが、深さがあるからでしょう、なかなかとれないようです。

ゲットしたお魚を持ち帰る家族を見て、昔お祭りでとった金魚が、しばらくうちで飼われていたのを思い出しました。私は全くお世話をしませんでしたが、両親のおかげでそれなりに長生きをしていたなあ、と懐かしくなります。

 

ローカルな商店街を歩く

次の目的地であるカフェまでは、古風な商店街を通ってまいりました。

屋外にお魚を並べるお店。結構な日の当たりですが大丈夫かしら

ホットックのお店

このホットックのお店がなんとも美味しそうで、思わず立ち止まってしまいました。

一枚1,000ウォン(約112円)です。その場で作っていただきました。

にょんと伸びるもっちもちの生地に、黒砂糖を包みこみます
丸めて鉄板の上へ

焼けました!

もちもちほかほか

あっという間にできあがりました。なんて美味しそう!

あつあつのホットックに齧りつきます。

お砂糖は完全に溶けて蜜の状態に

すっごい美味しい...。

サクサクモチモチした生地の中から、じゅわっと甘い蜜がでてきます。これがとんでもなく熱くて上顎を火傷しました。それでも悔いのないほどの美味しさです。食べ進めるうちに、重力に従って沈んだ蜜がたっぷりの部分に差し掛かります。表面から染み出すほどたっぷりの蜜といただく、もっちもちの生地。至福の時間です。

初日に食べたものはもっと生地に厚みがある、ドーナツによく似たスイーツでしたが、こちらは厚めのクレープのような食感です。軽くて香ばしくて、蜜が多くて甘々なこちらの方が、並んで買ったホットックよりもずっと私好みでした。

 

このころには胃腸は全快。旅行中ずっと胃が死んでいることも多い私が、物を食べ続けているにも関わらず回復したことに驚きました。きっと食べたものとの相性が悪くなかったのでしょう。

そのおかげで、こちらに挑戦することができたわけです。美味しいものに偶然出会えた喜びを噛み締めながら、次の目的地である、本日三軒目のおしゃれカフェへと足を進めました。

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